牛角と新喜劇が手本 楽天流の球団経営
プロ野球動かしたテック族(4)
球界参入に名乗りを挙げた楽天。六本木ヒルズの会議室「シドニー」に急造されたプロ野球準備室は異色の集団だった。西武百貨店から来て楽天で草野球チームをつくった米田純。リクルート出身で起業経験のある島田亨は三木谷浩史から球団社長として招かれた。事業の一切を託されたのは球界再編で暗躍した小沢隆生だ。
プロ野球の球団新設はわずか3年で消えた高橋ユニオンズ以来、50年ぶり。当時の知見は全く参考にならない。ゼロからの球団づくり。シドニーに集まった面々は、業界の垣根を越えて知見を求めていった。
TSUTAYAのデータで本拠地選定
準備室の第1号社員となった米田が取りかかったのが本拠地選びだ。当初は三木谷の出身地でもある神戸か大阪を想定。ただ、近鉄と合併して当面は大阪と神戸の両方を本拠地とすることが決まっていたオリックス球団オーナーの宮内義彦から、早々にノーを突きつけられた。
次に候補に挙がったのが長野市だ。楽天の社外取締役で
戦後に国民的娯楽の地位を築いたプロ野球は15年前、存亡の危機にあった。近鉄・オリックスの合併構想を機に噴出した球団再編運動。2004年、選手たちによる史上初のストライキを機に、球界は勃興し始めていたネット産業の起業家たちと出会う。リーマンショックの4年前、マネーがあふれユーフォリア(陶酔)という言葉を耳にすることが増えたころの話だ。テックの旗手たちはいかにプロ野球を動かし、今の再生へとつなげたのか。 (この連載は本編10回、番外編3回で構成します)
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