日韓、対立で失うもの 漁夫の利は中朝に
本社コメンテーター 秋田浩之
中国には「不打不相識」という成句がある。「けんかをしないと、分かり合えない」との意味だ。1972年9月、国交を正常化させた日中がそうだった。訪中した田中角栄首相は、周恩来首相と決裂しかねないほど激しく応酬した末に仲直りにこぎつけた。
交渉がヤマ場を越えようとしていたころ、毛沢東氏は田中氏を中南海に招き、「けんかは済みましたか」と語りかけた。互いに腹蔵なくやりあって初めて和解できると、毛氏は知って...
長年、外交・安全保障を取材してきた。東京を拠点に北京とワシントンの駐在経験も。国際情勢の分析、論評コラムなどで2018年度ボーン・上田記念国際記者賞。著書に「暗流 米中日外交三国志」「乱流 米中日安全保障三国志」。