金魚電話ボックス、著作権侵害認めず 作家の請求棄却
水が入った電話ボックスの中で金魚数十匹が泳ぐオブジェが自身の作品に酷似し、著作権を侵害されたとして、福島県いわき市の現代美術作家がオブジェを設置した奈良県大和郡山市の商店街側に330万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、奈良地裁(島岡大雄裁判長)は11日、請求を棄却した。

島岡裁判長は判決理由で「受話器が水中に浮かんでいる点は共通するが、それ以外は電話ボックスの屋根部分の色や配置などが異なる」と指摘。オブジェから原告の作品を直接感じ取ることはできず、同一性は認められないと判断した。原告側は控訴する方針。
判決によると、原告の山本伸樹さん(63)は遅くとも2000年ごろ、金魚を泳がせた作品を制作した。類似のオブジェは14年に金魚の産地として知られる大和郡山市の柳町商店街に設置された。
原告側は外見や受話器から気泡を発生させる仕組みが一致し、著作権の侵害と主張。商店街側は「電話ボックスに金魚を入れることはアイデアにすぎず、著作権法の保護の対象にならない」と反論していた。
商店街側は昨年4月、トラブルを避けるためオブジェを撤去した。
山本さんは判決後の記者会見で「オリジナルな作品であることを認めてほしかった」と述べた。商店街側の代理人弁護士は「著作権法の本質を踏まえた妥当な判決だったと思う」とコメントした。〔共同〕