ドイツ銀行、1.8万人削減 投資銀行部門を大幅縮小
【ベルリン=石川潤】経営再建中のドイツ銀行は7日、2022年までに全行員の約2割にあたる1.8万人を削減すると発表した。さらに株式売買業務から撤退し、投資銀行部門の約740億ユーロ(約9兆円)規模の資産を分離する。経営の不安要因になっていた投資銀行部門を中心に大胆なリストラを進め、株安に歯止めをかける狙いだ。
リストラ費用を計上するため、2019年4~6月期は28億ユーロ(約3400億円)の最終赤字になる見込みだ。一時的に損失が膨らんでも、リスクの大きい投資銀行部門への依存から脱却し、資金決済や資金運用などを軸にした経営体制に移行することで、再建を着実に進める方針だ。
分離する資産は新設する部門に移管し、徐々に処分を進めていく。当初は分離する資産の規模は500億ユーロとみられていたが、大幅に膨らんだ。リスクに見合った収益を期待できないデリバティブなどの資産が対象になるとみられる。ドイツ銀は5日、投資銀行部門トップのガース・リッチー氏が7月末に退任すると発表していた。
ドイツ銀行は1998年の米バンカース・トラストの買収以降、有価証券の売買などの投資銀行部門に力を入れてきた。資産と収益を急拡大させたが、抱えるリスクも膨らんでいた。
2008年のリーマン・ショック後、住宅ローン証券の不正販売を巡って巨額の罰金を支払うなど、経営を揺さぶり続けてきた。
ドイツ銀は景気が回復して金利が上がり始めれば収益は回復すると見込んでいたが、欧州中央銀行(ECB)の超緩和政策の長期化で目算が狂った。株安で経営への圧力が強まるなか、同じ独大手のコメルツ銀行との経営統合を検討したが、労組などの反対で19年4月に破談となった。
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