アップルが独自カード、iPhoneに新機能
【ニューヨーク=宮本岳則】米アップルが金融大手ゴールドマン・サックスと組み、2019年後半にも独自のクレジットカードを発行することが明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が21日報じた。主力スマートフォン「iPhone」に新機能を追加し、利用者の利便性を高めるほか、金融サービス分野で新たな収益源の確保を狙っている。
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、数週間以内に従業員を対象とした試験運用に着手し、19年後半にも本格的にサービスを開始する。アップルはiPhoneにクレジットカードやデビットカードをまとめて登録する「ウォレット」に新機能を追加。カードの残高を管理したり、支払い上限を設定したりすることが可能になるという。
アップルは端末販売の低迷で、利用者の囲い込みとサービス事業の強化を進めている。iPhoneにクレジットカードを登録するだけで簡単に店頭決済ができる「アップルペイ」機能をすでに提供しており、手数料収入を得ている。利用者が決済時にアップル発行の独自カードを使えば、手数料収入の増加が見込めるという。
米メディアによると、アップルは3月下旬にニュースと動画の新たな定額配信サービスを発表する見通し。新たな決済機能を含めてサービス分野での取り組みを矢継ぎ早に打ち出すことで、iPhoneの販売に依存する収益構造からの脱却を鮮明にする狙いと見られる。
一方、ゴールドマンは16年にインターネット銀行「マーカス」を立ち上げ、一般消費者向け金融サービスに進出した。かつての稼ぎ頭で、株式や債券、商品を取引するトレーディング事業の収益が低迷し、新規事業の立ち上げを急いでいる。デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)も不採算事業を見直し、成長分野に経営資源を振り向ける方針を示していた。カード事業への進出は、個人向け金融事業を拡大する戦略の一環だ。