アオザメの取引規制提案 EUなど、乱獲指摘
かまぼこやフカヒレ材料などとして人気があり、日本でも広く利用されるサメの一種アオザメの個体数が乱獲で減少しているとして、欧州連合(EU)などが、新たにワシントン条約で国際取引を規制するよう求める提案を条約事務局に提出した。条約関係者が15日、明らかにした。
5~6月にスリランカで開く締約国会議で投票国の3分の2以上の賛成があれば認められ、輸出入時に許可証の発行が必要になる。公海での漁獲物の各国への持ち込みも規制される。日本は反対する方向だ。
提案したのはEUのほか、議長国のスリランカ、アフリカや中南米の国など約20カ国。
提案によると、大西洋北部の産卵能力のある親魚の資源量が1950年から2015年に60%減少し、国際的な漁業資源管理機関によって過剰漁獲状態にあると評価されるなど、生息状況が悪化。一方、中国を中心とするフカヒレ需要の増加などにより漁獲量は大きく伸びたと指摘している。
EUなどは「現在の国際機関の資源管理は不十分だ」として、アオザメと、近縁のバケアオザメを条約の付属書2の対象とすることを提案した。
認められた場合、国際的な商取引は可能だが、輸出入の際に輸出国の許可証の発行が義務付けられる。公海で漁獲されたものを日本国内に持ち込む場合は、種の存続に影響がないことを示す日本政府の証明書が必要になる。
アオザメは世界の海に広く分布するが、国際自然保護連合(IUCN)が「絶滅の恐れがある種」としている。肉質がいいため商品価値が高く、水産庁によると日本漁船は毎年千トン前後を取っている。
水産庁は「サメの管理は地域の漁業資源管理機関で行うべきだというのが、以前からの日本の主張だ。提案が認められても受け入れないとの『留保』を申し立てることも可能だ」としている。〔共同〕