オフィス賃借予定の企業、23区で6年連続増 森ビル調査
森ビルが20日発表した2018年の東京23区のオフィス需要の調査によると、新たに賃借する予定のある企業の割合は前年比3ポイント増の27%で6年連続の増加となった。希望エリアは前年3位の「丸の内」「大手町」が1位だったほか、「新橋」が5位と2年ぶりに上位10位に入った。賃料改定で賃料が増額となった企業は91%と調査開始以来の最大となった。
調査は10月1~31日に主に23区に本社が立地する企業で資本金上位の約1万社を対象に行った。1702社が回答した。
オフィスの需要は堅調だ。新たに賃借する予定のある企業のうち面積の「拡大予定」は前年比6ポイント増の65%と積極的な移転の流行が続く。1~2年以内に新規賃借の予定のある企業は前年と横ばいの50%。新規賃借する理由は「業容・人員拡大」(36%)が6年連続で1位だった一方で、「賃料の安いビルに移りたい」(19%)は調査開始以来最も低い順位だった。
新規賃借する場合の希望エリアの1位は「丸の内」(18%)、「大手町」(18%)。有楽町エリアと丸の内エリアを結ぶ「丸の内二重橋ビル」や超高層ツインビル「大手町プレイス」、三菱地所の本社が入居する「大手町パークビル」の完成が貢献したとみられる。
希望エリアの上位は「オフィス供給が集中するエリアであり、今後、街の魅力向上が期待される」(森ビルのオフィス事業部営業推進部の竹田真二課長)。
魅力向上が目立つのは前年11位の「新橋」(13%)。14年に「新虎通り(環状2号線)」が開通してにぎわいや利便性が高まり、18年10月に複合施設「新虎通りCORE」が開業。「虎ノ門」(6位、12%)で「虎ノ門ヒルズビジネスタワー(仮称)」やホテルオークラが19年、地下鉄日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」が20年に開業を控え、新橋と虎ノ門を結ぶ新虎通りを通じ波及効果が生まれたようだ。
賃料改定で賃料が増額となった企業は91%と前年比4ポイント増。18年はオフィスの供給量の増加に伴う市況悪化が懸念されていたが、旺盛なオフィスの需要を背景に空室率は低下を続け、貸し手優位の状況が進んでいる。