アルミ缶に洗剤、化学反応で破裂 容器移し替えに注意
JR新宿駅(東京都新宿区)のホームでアルミニウム製の缶からアルカリ性の洗剤が噴出し、通行人が負傷する事故が起きた。洗剤と缶が化学反応を起こし、発生した水素ガスの圧力で缶の蓋が外れ、洗剤が飛散したとみられる。洗剤の容器の移し替えには注意が必要だ。
「山手線のホームでアルミ缶が爆発しました!」。8月下旬、新宿駅員からの110番通報を受けて警察官が駆け付けると、現場にはコーヒーのアルミ缶が転がり、無色透明の液体が飛び散っていた。ホームを歩いていた30代の女性ら2人に液体がかかり、顔や足に軽いやけどを負った。
新宿署は10月、30代の飲食店従業員の男を過失傷害容疑で書類送検。男は自宅で自転車のチェーンを掃除するため、勤務先にあった洗浄力の強いアルカリ性の業務用洗剤をアルミ缶に移し替え、リュックサックに入れて持ち出した。不審な音がしたのでリュックを開けて缶を見たところ、いきなり破裂したという。
過去に同様の事故が起きた際に東京消防庁が行った実験では、アルミ缶にアルカリ性業務用洗剤100ミリリットルを入れて放置したところ、洗剤に含まれる水酸化ナトリウムがアルミと反応し、アルミが溶けて水素ガスが発生。約6時間後、缶の側面に穴が空いて洗剤があふれ出した。
アルミ缶やスチール缶に酸性の洗剤を入れた場合も同じような反応が起きるため、洗剤は通常ポリエチレンの容器に入れて販売されている。
消費生活アドバイザーの阿部絢子さんは「業務用洗剤だけでなく、トイレ掃除向けなどの家庭用洗剤でも同様の事故は起こりえる。容器の移し替えはしないでほしい」と注意を呼びかける。