米国務長官の訪朝中止 トランプ氏、非核化停滞に不満
【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は24日、ポンペオ国務長官が来週予定している北朝鮮への訪問を中止するよう指示したとツイッターで明らかにした。理由を「朝鮮半島の非核化に十分な進展がみられないと感じているため」と説明。トランプ氏はこれまで先の米朝首脳会談の成功を誇示してきたが、非核化が停滞していることへの不満を表明した。
ポンペオ氏は24日、サンフランシスコを訪問している河野太郎外相と電話し、訪朝中止を説明した。日本外務省が25日、発表した。両氏は北朝鮮の非核化に向けた連携と、国連の安全保障理事会の制裁の完全な履行を確認した。ポンペオ氏の訪朝直後に日本での開催を調整していた日米韓外相会談も見送る。
トランプ氏はポンペオ氏の訪朝中止を指示する一方で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長には「温かい気持ちと敬意を表したい。まもなく会えるのを楽しみにしている!」とツイート。2回目の首脳会談に改めて意欲を示した。
トランプ氏は貿易問題で激しく対立している中国から、北朝鮮問題で以前ほどの協力が得られなくなっているとの認識も示した。国連安全保障理事会の制裁が緩み、中朝の境界などで北朝鮮との交易が活発になっていることが念頭にあるとみられる。ポンペオ氏の訪朝は「中国との貿易をめぐる関係が解決した後になるだろう」と指摘した。
ロイター通信によると、トランプ氏は24日にホワイトハウスでポンペオ氏と面会し、訪朝の中止を求めたという。ポンペオ氏は23日に来週の訪朝を発表したばかりだったが、その翌日に大統領が中止を指示するのはきわめて異例だ。ポンペオ氏は訪朝に際し、金委員長との面会の予定はないとしていた。
トランプ氏は6月のシンガポールでの米朝首脳会談後に「もはや北朝鮮の核の脅威はなくなった」などと表明し、成果をたびたび強調してきた。20日のロイター通信とのインタビューでは、北朝鮮が非核化に向けた具体的な措置をとっているかどうかに関して「そう確信している」と述べていた。

2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。