アンファー、初の「リアップ」後発薬を発売
日用品のアンファー(東京・千代田)は、発毛成分「ミノキシジル」を含む発毛剤を発売した。大正製薬ホールディングスの市販薬「リアップ」の初めての後発薬となる。価格はリアップより175円高い7223円(60ミリリットル、税抜き)。先発薬より高価な異例の価格設定だが、市場拡大の起爆剤になるかが注目される。
アンファーの発毛剤は「スカルプD メディカルミノキ5」。オンライン会員向けに6日から先行発売した。一般には8日から楽天などの通販サイトと、マツモトキヨシの一部店舗で販売する。
国内で承認を受けたミノキシジルを含む市販薬はこれまで大正製薬の「リアップ」シリーズだけだ。一般に後発薬はブランド力がある先発薬に対して、価格を安くして優位性を打ち出す。アンファー予防医学事業部の道端孝助事業部長は「他の市販後発薬に比べ審査のハードルが高い」と説明する。
ミノキシジルはもともと高血圧患者向けの血管拡張薬として開発。副作用の発毛が注目を集め、発毛剤としても使われるようになった。血管への影響があるため、血中での働きが先発薬と同等かを臨床試験(治験)で確認しなければならない。またミノキシジルは液体に溶けにくく、結晶化しやすいため、液剤にする技術的な難しさがある。主成分の特許が切れていても、製剤化技術の特許がすべて切れてはおらず、特許を回避しつつ製品を開発するには時間と手間がかかるという。
アンファーは後発薬を2017年に発売する予定だったが、添付資料に不備が判明し、発売をいったん取りやめていた。後発薬は20~40代向けの男性化粧品ブランド「スカルプD」のシリーズと位置付け、発毛剤を使っていなかった層の開拓を狙う。また複数の薄毛治療クリニックと連携し、4本購入した人の初診費用(5千円程度)を無料にするキャンペーンを展開、治療との組み合わせでお得感を出す。
先発薬のリアップは1999年発売。売上高はピーク時には約300億円だったが、18年3月期はシリーズ全体で165億円まで減った。
若い世代は発毛剤ではなく、手軽な育毛剤や頭皮の脂を落とすシャンプーを使う傾向もある。調査会社インテージホールディングス傘下のアンテリオ(東京・千代田)の石田卓也シニアアナリストは「20~30代でヘアケア製品を購入していなかった層を開拓できれば、市場は拡大する余地がある」と指摘している。
大正製薬は後発薬の発売について「話題性によって市場の拡大や新規ユーザーの掘り起こしが図られると思われる。当社は従来通り生活者の声を聞きながら、引き続き信頼いただけるような販売と情報提供に努める」とコメントしている。