ナジブ前首相を事情聴取 マレーシア当局、政府系ファンド資金の不正流用巡り
【シンガポール=中野貴司】マレーシアの汚職対策委員会は22日午前、ナジブ前首相を事情聴取した。マハティール新政権は政府系ファンド「1MDB」の資金の不正流用疑惑の解明を進めており、ナジブ氏の関与について詰めの捜査を急ぐ。
ナジブ氏は22日午前、汚職対策委員会に出頭した。従来の主張通り、不正流用を否定したとみられる。当局は事情聴取に先立ち、ナジブ夫妻の出国を禁止し、関係先も捜索。大量の宝石や高級バッグ、現金などを押収していた。
1MDBはナジブ氏が主導して設立した政府系ファンドで、不動産開発や発電所運営などを手がけていた。巨額の債務を抱えて政府が経営再建を進めてきたが、実体のないペーパーカンパニーなどを使った不透明な資金の流れも明らかになった。
ナジブ氏が首相在任中の2016年1月、当時の法務長官はナジブ氏の資金受領の違法性を否定し、捜査の終了を宣言した。ただ、野党連合の希望連盟を率いたマハティール現首相は1MDB問題の徹底究明を掲げ、9日投開票の総選挙で勝利。首相就任直後に捜査再開を指示するとともに、ナジブ氏の息のかかった捜査当局幹部を刷新した。