民泊法、物件届け出開始 6月15日施行で営業可能に
一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)の物件の届け出が15日に始まった。自治体に届け出た貸し手は6月15日の施行後から民泊を営むことが可能になる。マイナンバーの電子署名を活用したインターネットでの届け出も可能。ただ、住民が警戒する違法民泊への対策はこれからで、普及には課題も残る。
「東京五輪で来日する外国人などに宿泊してもらって、国際交流に貢献したい」。横浜市の健康福祉局で15日の午前10時すぎ、市内に住む広中由香理さん(43)が職員に書類を手渡した。
合法的に民泊を営むには現在、旅館業法の許可や国家戦略特区の認定が必要だ。しかし、例えば仲介最大手の米エアビーアンドビーが国内で掲載する約6万2000件の多くは許可を得ていないとみられる。民泊法は旅館業法などに比べてハードルが低く、年間180日の営業日数の範囲内であれば、貸し手が民泊を営みやすくなる。
民泊法の施行に伴い、違法民泊の取り締まりは強化される。民泊法自体に罰則規定はなく、旅館業法を改正し、行政が違法な物件に立ち入り検査できるようになる。罰金の上限額は3万円から100万円に引き上げる。
全国で条例により民泊の営業制限ができる自治体の3割超は、曜日や地域を限定するなど上乗せ規制を設ける方針だ。日本経済新聞が約100人を対象に実施したアンケート調査では、無許可の貸し手のうち3割が「民泊自体をやめる」と答えた。
エアビーは15日、仲介業者として観光庁に登録する予定。民泊法の貸し手は自治体から付与される届け出番号などをエアビーなどの仲介サイトに入力する必要がある。百戦錬磨など国内企業はすでに旅行業者として登録しており、15日からサイトに登録する物件の受け付けを始める。