「イスラム国の首都」陥落 シリア北部のラッカ
米軍支援の勢力が制圧、組織が事実上崩壊
【カイロ=飛田雅則】米国などが支援するクルド人を主体とする武装勢力は17日、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と位置づけて訓練や作戦の拠点にしていたシリア北部のラッカを制圧した。英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」が発表した。7月に最大拠点だったイラクのモスルをイラク軍によって奪われたISは組織として事実上崩壊した。
ラッカの奪還作戦を進めてきたクルド人主体の「シリア民主軍」(SDF)は同日、米軍による空爆の支援を得て、IS戦闘員が最後まで立てこもっていた病院とスタジアムを制圧した。
ラッカではIS幹部や外国人戦闘員が多数集まり、支配地域の拡大に向けた戦闘作戦の立案や支配地の経済政策を立ててきたとされる。IS幹部らの逃走先とされるシリア東部デリゾールも、アサド政権軍が90%以上を制圧した。
ただ、シリアやイラクでは、他の都市や町を拠点にして抗戦を続けるISの残党もいる。モスルやラッカから欧州や中東の他の地域にいったん逃れ潜伏する支持者も多数いるとみられる。支配地を相次ぎ失っている状況を跳ね返そうと、欧州などで支持者がテロを仕掛ける懸念がある。