科学分野のノーベル賞ゼロ 科技相に危機感
松山政司科学技術相は、2017年のノーベル賞で自然科学分野に日本人の受賞者がいなかったことについて「日本の基礎研究力の低下が危惧されている」との認識を示した。6日の閣議後の記者会見で「大変残念だ」と述べた。
2日から順次発表のあった「生理学・医学賞」「物理学賞」「化学賞」のいずれも日本人は受賞を逃した。
自然科学分野のノーベル賞は3年連続で日本人が受賞していた。それが途切れたというだけだが、日本の基礎研究力が衰えてきたとする指摘が国内外で相次いでおり、松山科技相の発言につながったようだ。
文部科学省科学技術・学術政策研究所がまとめた報告書によると、基礎研究力の指標となる質の高い学術論文数のランキングで、日本は13~15年平均で10位と、10年前の5位から大きく順位を落とした。
9月には英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションがまとめた最新の世界大学ランキングで、日本の大学で最も順位が高い東京大学が16年の39位から過去最低の46位となった。
松山科技相はこうしたランキングの低下を憂い、大学の研究を支える基盤経費の減少や、任期付きの研究者が増えていることなどが背景にあると分析した。「経費の確実な措置や研究を支える設備を強化する。民間にも研究投資を促し、研究力強化に努める」と強調した。