「司法や福祉の連携を」 再犯防止へ研究拠点設立
薬物や万引きなどの再犯を減らすため、刑罰より支援を通じた取り組みを研究する「治療的司法研究センター」が成城大(東京・世田谷)に設立され、10日、記念講演会が開かれた。講演した前厚生労働事務次官の村木厚子さんは「『塀の中』だけでは立ち直りは完成しない。司法や福祉が連携して支援することが重要だ」と訴えた。
センター長で同大法学部の指宿信教授は、再犯率の高い薬物使用者に対し、米国では刑罰より治療や環境整備を重視した専門法廷があることを紹介。「研究結果を通じ、日本でも専門の法廷や裁判プログラムの導入につなげたい」と抱負を語った。
また万引きを繰り返す「クレプトマニア」の弁護を多く手掛けたセンター客員研究員の弁護士が「万引きをやめられないのは精神障害なのに、刑務所や拘置所での対応は十分でない。刑罰より、社会内で治療を受け、回復することが求められる」と報告した。〔共同〕