フェイスブック、無議決権株の発行撤回 訴訟受け和解
【シリコンバレー=小川義也】米フェイスブックは22日、議決権のない新株の発行計画を撤回すると発表した。議決権の過半を握る創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏の支配力を維持することが狙いだったが、企業統治の観点から問題があるとして一部の株主が提訴していた。
ザッカーバーグ氏が同日、自身のフェイスブックページで表明した。2012年に米ナスダックに上場したフェイスブックは普通株(A株)のほか、議決権が10倍のB株を発行。B株の大半をザッカーバーグ氏が保有している。
昨年4月、「C株」と呼ぶ種類株を新たに発行し、既存株主の保有株1株につき2株を割り当てる計画を発表していた。昨年6月の定時株主総会で承認されたが、一部の株主が提訴。ザッカーバーグ氏は今月26日に始まる裁判で証言する予定だった。フェイスブックが計画を撤回し、原告と和解したため、裁判はなくなった。
ザッカーバーグ氏が無議決権株の発行を決めた理由のひとつは、支配力を維持しつつ、15年末に妻のプリシラ・チャン氏と始めた慈善活動の資金を捻出するためだった。
だが、発行計画を発表した16年4月以降、フェイスブックの株価は5割以上上昇。この結果、手持ちの株式を一定割合売却しても「向こう20年間かそれ以上」議決権の過半を維持できる見通しがたったという。
ザッカーバーグ氏は保有株の99%を慈善活動に段階的に拠出する方針に変わりはなく、むしろ売却ペースを加速していくと述べた。