現代自の中国4工場が一時停止 中国当局の意向か
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国・現代自動車の中国4工場が一時、稼働を全面停止していたことが分かった。現地合弁会社の部品購入代金の支払いが滞り、反発した一部の部品メーカーが供給を停止した。30日に工場は再稼働したものの、米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備に反発する中国当局の意向が働いたとの見方がある。
現代自と、中国国有自動車大手の北京汽車集団との合弁である北京現代汽車は中国に5工場を持ち、生産能力は年165万台に上る。このうち3工場が28日に、さらに1工場が29日に稼働を停止。7月に完成したばかりの重慶工場を除く、全工場で生産が止まった。
北京現代はTHAAD問題の影響により、中国で販売不振が続く。4~6月期の中国生産は前年同期比で7割近く減った。この結果、部品メーカーへの購入代金支払いも大幅に遅れ、燃料タンク関連部品を製造する外資系メーカー1社が一時、部品供給を打ち切った。交渉の末、部品供給は再開されたが、支払いはまだ済んでいないようだ。
現代自は事態収拾のため、部品メーカーへの支払いを急ぎたい考えだが、北京汽車側が支払いを拒否している。韓国政府は近く、THAAD4基の追加配備を米国と合意する。市場関係者は「北京汽車は国有企業。支払い拒否は当局の意向で、THAAD配備への報復だ」と語る。
韓国の毎日経済新聞が「現代自を追い込んだ中国の経済報復」と報じるなど、複数の韓国メディアが工場停止を中国による報復措置と報じた。
中国ではTHAAD配備の用地を提供した韓国ロッテの中国内のスーパーに、当局が消防設備の不備などを理由に営業停止を命令。今も約110店のうち多くの店舗が閉鎖したままで韓国企業への圧力が続いている。