電子機器の機内規制 米英の狙いは?(Q&A)
日本へ影響は限定的
【ニューヨーク=平野麻理子】トランプ米政権は21日、中東と北アフリカの8カ国を出発する米国行き直行便で、携帯電話より大きな電子機器の機内持ち込みを禁止すると発表した。英政府も同地域6カ国から英国に向かう航空機に同様の規制をかけると発表。突然の規制の内容をまとめた。
Q すべての航空便が規制対象か。
A 違う。米の規制はヨルダン、エジプト、トルコ、サウジアラビア、クウェート、モロッコ、カタール、アラブ首長国連邦にある10の国際空港を出発する「米国行き直行便」が対象だ。その意味で、日本人乗客への影響は限定的だろう。
Q 機内に持ち込めない電子機器とは。
A 医療用を除き、携帯電話やスマートフォンより大きな電子機器だ。ノート型パソコン、タブレット(携帯情報端末)は事前に預ける荷物に入れる必要がある。「iPad」「Kindle」も対象。荷物に入れて預けることで、壊れたりする恐れがある。
Q どの航空会社が影響を受けるのか。
A 米CNNテレビによると、対象の空港から米国行き直行便を運航しているのは、エミレーツ航空やターキッシュエアラインズなど9社。米国の航空会社は直行便がなく、影響を受けない。
Q 米国民も電子機器を持ち込めないのか。
A 国籍や市民権の有無は関係ない。米国民はもちろん、日本人でも該当する航空便に搭乗する際は注意が必要だ。
Q 英国も同様の規制を発表した。
A トルコ、レバノン、ヨルダン、エジプト、チュニジア、サウジアラビアの6カ国からの「英国行き直行便」が対象だ。英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は対象国からの直行便を運航しているため、規制がかかる。
Q 規制の背景は。
A 米メディアは、米政府の情報収集によって航空機テロの可能性の高まりが確認されたと報じている。具体的な内容は不明だが、米国土安全保障省は「一般商業用の航空機を狙ったテロの可能性がある」とした。
Q これでテロを防げるのか。
A 過激なテロ組織がノート型パソコンなどに爆弾を仕掛ける開発を進めてきたのは事実だ。ただテロ組織の技術力は日進月歩で、機内持ち込みが認められた範囲の電子機器でも爆発物をつくる可能性は消えない。
Q 規制の期限は。
A 米政府は特に期限を設けず、対象範囲を広げる可能性も認めている。対象の空港では今のところ大きな混乱は起きていないようだ。一方、イスラム圏の一部の国からの入国を制限するトランプ氏の大統領令は2度にわたり司法当局に差し止められている。
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