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豪首相、雇用悪化で交代 日本の潜水艦受注に影響も

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【シドニー=高橋香織】オーストラリアのアボット首相(57)が突然の辞任を迫られた。資源安で経済が失速し、国内の雇用問題が悪化したことが一因だ。親日家で知られたアボット氏に比べ、新首相に就任するターンブル氏(60)は最大の貿易相手国である中国との間合いの取り方を変える可能性がある。ただ与党の政策に大きな変化が生じる可能性は低く、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉などの通商政策は踏襲されるとみられる。

「大事な補選が控えている」。アボット氏を追い落としたターンブル氏は、14日に急きょ開かれた党首選前にこう強調した。アボット氏は2013年9月の首相就任後、法人税率引き下げや有給育児休業拡充などの公約を守れず、支持率が低迷していた。このままでは19日に迫る西オーストラリア州補選だけだなく、16年9月までに実施される次期総選挙も戦えないとの危機感が与党内で広がり、突然の党首交代につながった。

豪統計局が今月上旬に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)は、前期比0.2%増と1~3月期の同0.9%増から伸びが鈍化し、減速が鮮明となった。失業率は6%台に高止まりし、労働組合を基盤とする野党・労働党が地方都市などで支持を急速に拡大していた。

アボット氏は米国の同盟国同士である日本重視の姿勢を鮮明にし、日豪経済連携協定(EPA)の合意を始め、安倍晋三首相との間で日豪関係を急速に深化させてきた。豪州政府が25年から調達を予定する将来潜水艦を巡っても、安全保障面で日米豪の連携を強化する狙いから、日本の「そうりゅう」型の導入に前向きだった。首相交代は、日本の潜水艦受注に微妙な影響を与える可能性もありそうだ。

一方で両国の経済や貿易関係は強固で、政策全般では首相交代による影響は少ないと見る向きが多い。ターンブル氏は親日家のアボット氏に比べれば、日中のバランス外交に配慮するとみられる。ただ野党党首時代の09年に、中国通を誇示するラッド政権の外交を批判し、アジア外交については「一貫した目標を掲げ、原則を堅持し、国民の価値に忠実であること」が重要だと強調し、中国を特別視しない方針を示している。中国をけん制するかたちで進む日米豪の防衛協力に大きな影響はないとみられている。

ターンブル氏は14日の記者会見で「貿易自由化は繁栄の基礎だ」と強調し、TPP交渉に積極関与していく姿勢を示した。内政ではターンブル氏に首相が交代することで支持率が好転し、指導力が強まれば資源ブーム後の構造改革が進展しそうだ。同氏は中国減速などを念頭に、転換期にある豪州が「柔軟性や創造性を発揮する」ことが重要だと述べた。

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