キプロス再統合交渉が決裂 国連事務総長「非常に残念」
【イスタンブール=佐野彰洋】国連のグテレス事務総長は7日、地中海キプロス島の再統合交渉が行われていたスイスで記者会見し、「非常に残念だが、会議は合意に達せず終了した」と述べた。島北部に駐留するトルコ軍の撤退問題を巡る隔たりが埋まらず決裂した。
南のキプロス共和国(ギリシャ系)では来年2月に大統領選挙が迫る。一方、北キプロス・トルコ共和国(トルコのみ承認)の後ろ盾であるトルコは人権問題などを巡ってギリシャや欧州連合(EU)との関係が悪化。トルコ軍の全面撤退を求める南と、一定数を残すよう主張した北の溝は埋まらなかった。
キプロスは英国の植民地支配から独立後の1974年にギリシャ系住民がクーデターを起こし、トルコはトルコ系住民の保護を理由に北部を占領した。2004年の国連の仲介案は南の住民投票で否決され、南は単独でEUに加盟した。
今回の再統合交渉は15年5月に始まった。分断前を知る世代の減少やトルコからの労働移民などを通じた北の人口構成の変化などから、分断が永続するとの危機感が広がっていた。