訪日客2000万人突破、16年より45日早く アジアが増
観光庁の田村明比古長官は20日の記者会見で、訪日客が9月15日時点で2千万人を突破したことを明らかにした。これまでは団体旅行が多かったアジアの人たちが個人でも日本を訪れるようになり、前年よりも45日早い突破となったという。個人客向けの外国語案内が乏しいなどの課題も浮上。政府は出国税を検討するなど、増える訪日客への対応を急ぐ。
日本政府観光局が同日発表した8月の訪日客数は前年同月比21%増の247万人だった。中国が21%増の81万人と単月ベースで過去最高を更新して全体を押し上げた。1~8月の総計は1891万人となり、前年同期比18%増えた。現状では、年間3千万人弱のペースで推移。政府は東京五輪の2020年に4千万人の誘致をめざしている。
8月に中国が増えたのは個人客とクルーズ船の増加が主因だ。個人がビザを取得するケースが増えている。クルーズ船は今年前半には空席も目立ったが、最近は満席が多いという。韓国は35%増の62万人、香港も24%増の19万人。航空便の増加が寄与し、10カ国・地域が前年同月比2ケタ増となった。
田村長官は「訪日客は順調に増えているが、レベルの高い課題が生じている」と指摘した。訪日客が個人客にシフトしたことで、新たな観光インフラの問題が出ている。団体客ならば大型バスなどで移動し、地下鉄や駅の表示を気にすることは少ない。ただ個人の場合は看板が複数の言語でないと困るケースが多く、駅員などとのコミュニケーションも骨が折れる。
こうした課題に対して、観光庁は観光拠点を整備する新しい財源として出国税を検討している。年末までに方向性を示す予定だが、日本人も対象に含めるかなどの難しい論点が残る。