ブラック企業、社名公表18日から 厚労省が対策発表
厚生労働省は15日、従業員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策を正式発表した。従業員の違法な長時間労働で、年3回是正勧告を受けた大企業の社名を公表する。18日から実施する。公表の対象を広げ、過重労働を減らす狙いだ。問題企業では労働時間を改ざんするなど悪質な行為もあり、実効性の確保が課題になる。
「決意の表れと取ってほしい」。15日の閣議後会見で対策を発表した塩崎恭久厚労相は強調した。これまで社名を公表していたのは是正勧告に従わず、書類送検をした企業のみだ。厚労省によると、2013年に労働基準監督署が是正勧告したのは11万2873件あった。書類送検したのは1043件で、勧告の1%にも満たない。
社名公表は複数の都道府県に支店や営業所などを置く大企業を対象にする。中小企業は対象外だ。1カ月間の時間外・休日労働が100時間を超える従業員が1つの事業所で10人以上か4分1以上で、1年程度の間に3カ所の事業所で是正勧告を受けると、組織の問題として社名を公表する。
企業にとっては社名を公表されるとブラック企業として認知され、イメージ悪化や人材確保が難しくなる。違法な長時間労働をこれまで以上に隠そうとすることも予想され、労基署の調査能力の向上が求められそうだ。
違法な長時間労働で病気や自殺に追い込まれる人が後を絶たず、厚労省はブラック企業の監視を強化している。14年11月には違法な長時間労働が疑われる4561事業所に立ち入り調査を実施し、半数の事業所に是正を勧告した。