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トヨタ「乾いた雑巾」さらに絞る 今期予想、下方修正で

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トヨタ自動車は4日、2017年3月期の連結業績予想(米国会計基準)を下方修正した。円高・ドル安の為替相場や新興国の通貨安などが響き、純利益は前期比37%減の1兆4500億円(従来見通しは1兆5000億円)に減る。経営環境は厳しさを増しているが、お家芸である「乾いた雑巾を絞る」と呼ばれるコスト削減に磨きをかけるチャンスにもなる。

7月26日、トヨタは都市対抗野球大会で悲願の初優勝を果たした。会場となった東京ドームには愛知県豊田市の本社から多くの社員が応援に駆けつけたが、普段との違いに戸惑った社員も少なくないはずだ。従来は帰りの新幹線のチケットを配布し、交通費の半額を援助。だがこの日は会社が用意したバスで帰途につき、到着は深夜になった。

会場の交通整理なども外部委託から"内製"に切り替え、管理部門の社員が担当した。東京本社にある8機あるエレベーターのうち2機は休止し、空気で手を乾かすトイレのドライヤーの利用もやめた。「一つ一つの効果はそれほど大きくないが、社員のコストへの意識を再び高める」。ある幹部はその狙いを語った。

7月以降の為替前提を1ドル=100円など円高方向に見直すため、今期は為替変動が1兆1200億円の減益要因になる。一方、原価改善は3750億円(従来は3400億円)、値上げなど営業面の努力を1700億円(同1350億円)に拡大。コスト削減などにより諸経費の増加は従来より450億円少ない4950億円にとどめる。

トヨタは前期から自動運転に活用する人工知能(AI)の研究など将来への種まきを本格化。こうした取り組みを支えるのは「強靱(きょうじん)な財務基盤」(大竹哲也常務役員)にほかならない。ところがある幹部は「前向きな投資を増やすフェーズに入り、コスト管理が甘くなっていた面もある」と反省の弁も口にする。

業績予想の下方修正は約5年ぶりとなるが、グループ販売台数の見通しは据え置いた。「今年の世界市場は昨年並みになり、来年以降は数%ずつ増えると見ている」(大竹常務役員)。土砂降りになる前にネジを締め直すことに成功すれば、豊田章男社長の掲げる「持続的な成長」に向けた基盤固めにつながるはずだ。

(名古屋支社 奥平和行)

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