スズキ会長、独VWと「再婚ない」 提携解消「満足」
スズキの鈴木修会長は30日、都内で記者会見を開き、独フォルクスワーゲン(VW)との提携解消をめぐる国際仲裁裁判所の裁定について「満足している」と話した。鈴木会長らの主な一問一答は以下の通り。

――今回の裁定についての評価は。
鈴木会長「2009年12月に契約を結んだが、1年ほど経過したところで様々な行き違いが生じ、2011年に提携解消を申し入れた。裁定の内容が私どもの手元に届いたのは29日夜。英文の中身を慎重に精査し、本日の発表となった」
「スズキの求めていた通り、VWとの包括契約は終了し、VWがスズキ株を返還する。この結論に満足している。仲裁を申し立てた最大の目的は達成できた。これまで『のどに小骨が刺さったよう』と話してきたが、非常にすっきりした。世界にはいろんな異質な企業があると感じた。経験不足を反省している」
――スズキ株の買い取り価格はどうなるのか。
鈴木会長「いろんな計算方法がある。裁定が出た時点の終値ということも考えられるが、まだ明確には決まっていない。常識的な株式の論理にのっとって進める」
――提携の目的は環境技術の協力にあった。今後の開発はどうなるか。
鈴木会長「時間をかけて検討したい。ただ提携から6年が経過し、当時の課題はクリアできたと思っている。軽自動車『アルト』では1リットル37キロという高い燃費性能を実現した。26日発表した小型車『ソリオ』でも(モーターと発電機でエンジンを補助する)マイルドハイブリッドシステムも実現した。災い転じて福となす。技術者たちに感謝したい」
――裁定が下ったあと、VW側と接触はあったか。
鈴木会長「一切ない」
――今回、提携を解消したのとは別の分野では、協力関係を築く可能性があるか。
鈴木会長「たとえは悪いが、離婚したひととまた再婚することはないだろう」
――VWとの提携がうまくいかなったのは何故か。
鈴木会長「裁定に満足しており、愚痴は避けたい。過去については『沈黙は金なり』ということで、コメントは差し控える。これからどう前向きに自動車業界で生きていくかを考えたい」
――裁定では、スズキによる契約違反の一部が認められたとなっている。今後、どんな審議が行われるのか。
原山保人副会長「国際仲裁裁判所と、VW、スズキの3者で協議してスケジュールを決めていく。まずはVW側に、自社にどんな損害があったか説明する責任がある。VWの対応を見極めたい」
――今後、VW以外と資本・業務提携の可能性はあるか。
鈴木会長「自立して生きていくことを前提に考えていきたい」
――自身の今後の去就について、どう考えているか。
鈴木会長「全く考えていない」
関連企業・業界