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アスクル火災、通販「ロハコ」一部キャンセルも

鎮火のめど立たず

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ネット通販大手アスクルの物流拠点の火災が発生してから3日が経過した。同社によると19日夜の時点で鎮火のめどが立っておらず、原因の究明や施設や在庫商品の被害状況の確認に至っていない。通販サービスは注文の受け付けを再開しているものの、一部の地域で配達が遅れる状況が続く。アスクル独自の配送サービスを支える拠点の火災の影響は小さくなさそうだ。

「最初は野焼きをしているぐらいだと思っていたが……」。18日午後。火災が発生した「アスクルロジパーク首都圏」(ALP首都圏、埼玉県三芳町)の様子をうかがっていた地元の男性が話した。周囲には消防車が何台も集まり、倉庫の壁に開けた穴から放水が続いていた。炎は見えなかったものの、時折黒い煙があがる。

白い柵で囲われていた敷地の周囲を歩くと、心配そうに倉庫を見る人に何人も会った。「倉庫が広いから放水しても水が届かないのではないか」「何百人もの人が働けなくなる。かわいそうだよ」。入り口から遠い敷地の隅の方にはピンクの重機が置いてあった。

同所は延べ床面積7万2000平方メートルをほこるアスクルの中核拠点だ。鎮火のめどが立っておらず、焼損面積は当初の約1万5000平方メートルから4万5000平方メートルに拡大した(19日午後)。トラックが出入りして荷積みをする1階よりも在庫商品が多い2階、3階の方が焼けているようだ。倉庫内には立ち入れず、出火原因や在庫商品の状態は確認できていない。

火災で特に影響が出ているのが消費者向けの通販サービスの「ロハコ」だ。もともとALP首都圏と大阪の2拠点から配送していたため、東日本地域の注文の受け付けを一時的に停止。一部では注文がキャンセルになった模様だ。16日夕方以降、受注を再開したが、現在も取扱商品は半分ほどに限られ、配送までの時間も最大で2日遅れる可能性がある。

2013年夏、ALP首都圏を開設したのは、そのロハコの配送を強化するためだ。ヤフーと資本業務提携し、日用品などを扱うサイトを立ち上げたのは前年の秋のこと。同拠点の開設により、消費者のもとに当日配達できる商品数を拡大する狙いだった。開所当時から、中の商品の高さに応じて箱の閉じ方を変える自動梱包機を導入するなど、効率的な配送網構築の手を打った。

楽天やヤフーなど大手のネット通販では物流機能はサイトに出店する企業に任せるか、外部に委託する例が多い。アスクルは外部への委託と同時に自社の物流拠点や配送網を構え、スピード配送や独自のサービスにつなげている。ロハコでは配達直前にユーザーに到着を通知するサービス「ハッピーオンタイム」を提供。時間通りに受け取れるため再配達を減らせる効果がある。

アスクルの岩田彰一郎社長はかねて「第2世代のEコマースでナンバー1になる」と語っている。これまでのネット通販は地方の産品など嗜好品を購入するのが主な使い方。対して、第2世代のネット通販は日用品や食料を購入する、普段使いのサービスだという。

火災発生後からネットでは「アスクルなのに明日は来ないのか……」といった書き込みが目立った。スマートフォン(スマホ)で隙間時間に買い物できるようになり、商品をすぐに受け取りたいという需要も増えている。今回の火災を受け、独自サービスの充実とリスク対策を両立する難しさを改めて考えさせられた。(諸富聡)

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