希少サルの不適切飼育横行 英研究者が投稿動画分析
絶滅の恐れが高いアジアの小型サル「スローロリス」を不適切な方法で飼育している様子が、インターネット上の動画調査で多数見つかり、多くが日本で撮影されたとみられるとして、英国の研究者がペットとしての飼育をやめるよう警告している。
研究者は保護活動に取り組む英オックスフォード・ブルックス大のアンナ・ネカリス教授。スローロリスは生息地の破壊や狩猟で数が減り、ワシントン条約で国際取引が禁止されているが、今なお多くの国でペットとして人気だ。同教授は17日に都内で開いた記者会見で「不適切な飼育による強いストレスで健康を害し、死につながりかねない」と話した。
同教授によると、約160本のネット動画を調べたところ、うち93本が日本で撮影されたと思われるものだった。夜行性なのに昼間の光で撮影されていたり、野生では食べない糖度の高い果物やおにぎりを食べさせたりする動画もあった。
ネカリス教授は「動画投稿は違法取引を助長する恐れもある」と警告。投稿者に連絡を取っても、削除に応じるケースはほとんどないという。
スローロリスは成獣でも体長が30~40センチと小型。国内の取引も原則禁止されている。〔共同〕