マイナス金利、逃げ水の円安効果 決定前逆戻り116円台
4日の欧米市場で円相場が一時、1ドル=116円台に上昇し、日銀がマイナス金利政策を決めた1月29日よりも円高・ドル安になった。米利上げ観測が後退し、マイナス金利決定後の円安が打ち消された。
3日発表の米非製造業景況感指数が悪化したうえ、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が「(金融情勢は)かなり逼迫している」と発言。米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが遅れるとの見方が広がった。
日本の金利を押し下げるマイナス金利政策は日米間の金利差が広がることで、円相場を押し下げる効果を見込める。だが米金利が日本の金利よりも下がり、逆に円高が進みやすくなった。市場では「日銀の政策だけで円相場を動かすことには限界がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏)との声が出ている。
ただ「追加緩和がなければ、円は114円台に上昇していた」(野村証券の池田雄之輔氏)との指摘もある。黒田東彦総裁がマイナス金利幅の拡大を示唆していることもあり、円高進行を食い止める役割は果たしているとの見方も多い。