ダービー全馬、サンデーサイレンスの孫対決
血統の偏り鮮明 主要競馬国でも異例
競馬の祭典、第78回日本ダービー(東京優駿、G1・芝2400メートル)は29日、東京競馬場で行われる。2008年生まれの国産馬と日本への輸入馬計7458頭の頂点を決める戦いだが、最終登録された22頭全馬が、往年の大種牡馬サンデーサイレンスの孫という異例の事態となった。
現時点で出走可能な18頭を見ると、父の父がサンデーサイレンスという馬が16頭、母の父サンデーサイレンスが2頭。賞金不足で他馬の回避待ち状態の4頭も、父の父サンデーサイレンスと母の父サンデーサイレンスが各2頭となっている。
出走圏内の18頭の父を見ると、サンデーサイレンスの最高傑作といわれるディープインパクトの産駒が5頭で最多。次いでステイゴールド、アグネスタキオンの産駒が3頭ずつ。フジキセキ、ネオユニヴァースの産駒が各2頭で、ハーツクライ産駒も1頭が入った。
母の父サンデーサイレンスという2頭は、クレスコグランド(父タニノギムレット)とベルシャザール(父キングカメハメハ)で、いずれも父は今世紀のダービー馬。
数ではディープインパクト産駒優位だが、今回の注目度ではステイゴールド産駒の方が上。皐月賞を3馬身差で圧勝し、二冠を目指すオルフェーヴル、皐月賞は2番人気で5着のナカヤマナイトがいる。ディープインパクト産駒では、女王ブエナビスタの異父弟で、市場での購買価格が2億2千万円(税抜き)を記録したトーセンレーヴが注目されている。
今回のダービーで表れた血統の偏りは、サンデーサイレンスを導入した社台グループ(北海道)の力が日本の競走馬生産において圧倒的に強いことが背景にある。だがこうした傾向が続けば、近親交配の可能性も高まり、国産馬同士で強い馬をつくることが難しくなる恐れもある。
主要競馬国のダービーでも、出走全馬が同じ種牡馬の孫というのは異例。7日の米ケンタッキーダービーの場合、19頭中、父が同じだったのは2組4頭だけ。英2000ギニー(4月30日、皐月賞に相当)は、13頭中2組4頭だった。
(野元賢一)