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ソーシャルゲーム 世界でどう戦う?成功作品そのまま海外に

グリー田中良和社長聞く

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交流サイト(SNS)大手、グリーが携帯電話向けソーシャルゲーム事業で海外市場の開拓に力を入れる。目標は会員数10億人、現在の約5倍だ。日本のモデルは世界に通用するのか、田中良和社長に聞いた。

――4~6月にゲームの開発仕様を統一し、国内で配信したゲームを海外でも楽しめるようになる。

「昨年4月の米SNS大手、オープンフェイント買収後から日本のグリーと機能の統一や連動を進めてきた。サービス開始に向けて、米国や中国、欧州の自社開発拠点で12作品、ゲームソフト大手から24作品が配信される予定だ。日本で成功したゲームの設計思想は海外にそのまま持ち込む」

――昨年12月末時点の海外の会員は約1億9千万人。3~5年後の10億人達成は可能か。

「携帯電話向けにゲームの配信・運営と、ソフトの自社開発をともにできる企業はグリーだけ。スマートフォンの世界的な普及が追い風になる」

「海外企業と比べグリーの1契約者当たりの月間収入は数倍高い。月に何回もゲーム中でイベントを開くなど面白さを引き出す運営がきめ細かく、洗練されているからだ。売っている商品が同じスーパーでも特売セールでいかに客を呼び込むかで、店舗の成績が変わる。ソーシャルゲームの運営は小売業と同じだ」

――世界のソーシャルゲーム市場をどう予測する。

「まず日米欧で拡大し、中国や南米など新興国でも需要が高まるだろう。国内ソーシャルゲーム市場は3千億~5千億円ともいわれているが、世界では数兆円規模になる可能性もある」

「日本で培ったノウハウを生かし、万国共通で受け入れられる作品を作る。絵柄などは地域によって嗜好が異なるので、調整が必要だ。地域に根ざしたニーズを取り込むために、世界中でゲームを開発することが重要だ。利用者がどんな風に遊ぶかデータを解析すれば、新作は開始から3~6時間で人気が出るか否かを見極めることができる」

――国内ではこのほどゲーム中に使うカードが不正に複製され、オークションサイトに大量に出回った。

「グリーの各ゲーム内でカード売買などの禁止行為の検知機能を強化するほか、被害を申告できる専用窓口の設置も決めた。ソーシャルゲームの健全な利用環境を妨げる行為については根絶を目指していく」

――無料でゲームを利用できる範囲が分からない子供がアイテムを購入して多額の支払いを求められた。

「2月の決算会見でも話したように、消費者庁の方針に従ってサービスの内容や表記を適切に対応している。同庁に確認した限り、現在のところ問題ないという認識だ」

 1999年日大法学部卒。インターネット接続サービス会社や楽天を経て、2004年グリーを設立。35歳

<聞き手から一言>急成長の「ひずみ」、問われる企業姿勢

グリーの2011年10~12月期の連結売上高は前年同期比2.9倍の415億円、営業利益は同3.2倍の225億円といずれも過去最高を記録した。基本的に無料で楽しめ、ゲームを楽しむためのアイテムを有料で販売する「アイテム課金」が原動力だ。「国内での客単価はまだまだ伸びる」と田中社長は分析する。

一方、子供が知らずにアイテムを購入し多額の支払いを求められるといった事例が報告され、射幸心をあおりすぎとの指摘も出ている。人気が高まるほど、その「ひずみ」の部分にどう向き合い対策を講じるか。大手として企業姿勢も問われそうだ。

(世瀬周一郎)

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