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2017-06-02

帯本体が難あり過ぎて締められないけど、刺繍は綺麗。な帯の刺繍部分を切り抜いて移植なアップリケ作り帯制作、その2

―――――――さて、アップリケ帯の完結編です(笑)…あたしゃ、このような人様のお役にたつかもしれないDIY記事はだらだらと長期連載にはしませんよ。

簡潔にわかりやすく。そうでないと誰もチャレンジしようと思わない…

ああ、この記事も1つにまとめたいところでしたが画像が多くなり過ぎたので2つに分けました、申し訳ない。




アイロン接着を試してみるお太鼓、前帯部分です。

アイロン接着シートに置き、アイロンでこのシートを接着します。



接着し終わったもの。これの余白部分を刺繍ギリギリでカットし、刺繍部分のみに切り抜いていきます。

……全部切り抜くのに1時間はかかったのに、切り抜き終わった刺繍部分だけ、って画像を撮り忘れてしまった…



切り抜いたものを帯の上に置いてみるとこんな感じ。…もう、立派な刺繍帯に見えます。

これをアイロンで接着していきます。





一応は接着されている状態。…んが、このアイロン接着シートって曲者で、貼る素材によってはすぐに剥がれてきたり、しっかり接着しようとグイグイアイロンで押していると、逆に剥がれてきたりするのです…

今回のこの喪帯と刺繍部分の厚みではちゃんと接着できないらしく、ちょっと折りたたんだり曲げたりするとぺローンと剥がれてきた…

一方の澱粉のり接着のたれ部分ですが、しつこく強度確認で折り曲げたりを繰り返していたら端から剥がれてはきましたが、アイロン接着のように一気にベロっと剥がれてはこなかったので、澱粉のりの方が優秀(笑)

それにアイロン接着だとアイロンで上からぎうぎう押さえるわけで、ふっくら日本刺繍が潰れるんですわ
特にぷっくりと刺繍してあるものだったりしたらアイロン接着、向きません。接着剤で貼ってください。

で、なんでボンドじゃなくて澱粉のりなんだ…と思われるでしょうが、つまみ細工作る際に使う接着剤ってのが澱粉のりなわけですよ。

まあ、あっしはいつも速乾ボンドで作ってるんですが(笑)

正式には澱粉のりを使って作るのがつまみ細工。そして澱粉のりで接着されてるつまみ細工、大昔のものでも接着剤が劣化して変色、とか剥がれるとかほぼ見たことないんですよ。

だから正絹ものの接着には澱粉のりが相性がいいのかなあ、と思いまして。

ちなみに狩衣だったかの平安装束も端は縫われておらず、職人曰く『究極の糊』、ご飯粒を良く練ったものを付けて端をくるくる丸めて始末する、というのをテレビで見ましたわ。

水通しして洗わないようなものなら澱粉のりでも大丈夫なんじゃないかと。

…ただ、一般家庭では普通は澱粉のりって置いてないよな
水分多くて乾きにくい澱粉のりより固形のりかアラビックヤマト系であろう(笑)

んが、澱粉のりはこうも使える。



刺繍糸、切れてしまってこのままではどんどん取れて来そうな部分。



その部分を馴染ませるように澱粉のりで押さえるのです。…ボンドとか他の接着剤系だと、変なテカリ、変色が出やすいんですわ。澱粉のりだとかなり自然に補修可能。



それにカットしたパーツの土台の生地がほつれて来るの防止のために断面にぐるっと塗っておくのです。

今回のように縫い付けず、端の始末をしないバージョンですと、この断面の加工で随分と違うと思います。

なので、澱粉のり、とりあえず1本は持っておいても損はないかなと思います。

どうしてもしっかり貼りたい場合は手芸用ボンドも使い、澱粉のりも所々使う。剥がれてきたら、再度塗る!…これで充分でございましょう(笑)



んで、貼り付けたパーツにはこのようにギリギリ1mmくらいのはみ出し布部分がございます。

この部分を油性マジックで土台の帯と馴染ませるように塗り潰していきます。…油性マジックは『じわ~ん』と布にインクが乗るので、この独特のボケ感が馴染ませるのにちょうどよかった(笑)



隠れてしまう部分には面倒なので塗ってない(笑)



完成です!!――――――予想外にちゃんと立派な帯になって驚いた(笑)



横から見るとそこそこの厚みがあります。今回使った刺繍帯が単帯なんで生地そのものの厚みがありますが、大概の刺繍帯は繻子地だと思うので土台生地のボリュームはそれほどないと思われます。

刺繍部分の厚みがあればある程、剥がれやすくもなりますので剥がれたらこまめに貼り直す、どうしてもはがれやすくて困る部分だけは馴染む色の糸でそこは縫い付けておく、大切なのは『最初から完璧を求めない』、これでございましょう(笑)

…プロの悉皆さんが完璧に直してくださるのはそれでお金を頂くプロだからでございます。

ワタクシ達のような素人が自力で低価格でお直しをする場合、完璧を求めようったってはなっから無理。

それでも『このままでは捨てるしかなくなるような刺繍帯でも再生させて、たまに使えるくらいにはできるよ』というご提案でした。…ヘビロテには向きませんよ、絶対!!(笑)



――――――『とってもいい物だし思い入れがあるし、お金が幾らかかってもいいから…』という刺繍帯のお直しでしたら『帯仕立て専門カクマ』さんにお願いしてくださいませ…

こちらでは昔から今回のような移植帯を手掛けておられます。帯それぞれの加工内容によって金額が変わるのでどれだけかかるかは見当もつきませんが、お直しされた帯をHPで見る限り、本当に新品同様、移植帯だなんて全然わからないくらいの素晴らしい仕上がりでございます。

……あっしもあの崩壊寸前の高かった木蓮帯はカクマさんで移植帯にしたいくらいだ(笑)←裏切り者。

今回の移植帯にあたりカクマさんとこのお直しされた帯を参考にしようとして、その太刀打ちできない職人技に圧倒され、結局『切り抜いて→接着剤で貼って→完成』という帯に落ち着いた…

でもこれだったら切り抜き地獄さえクリアできれば誰にでもできよう…

皆さんも『これはこのままではただのゴミ…』な刺繍帯がございましたら失敗覚悟の最後の選択として、この移植帯にチャレンジしてみてくださいませ。

――――――――あくまでも自己責任にて。



――――――――これだけ残った(笑)

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2017-06-01

帯本体が難あり過ぎて締められないけど、刺繍は綺麗。な帯の刺繍部分を切り抜いて移植なアップリケ作り帯制作、その1

――――――――…あら、カレー付け下げ以来の蛮行なのかしら(笑)

でも蛮行お直しと云えば蛮行なんだけど、そこそこ出来上がりは悪くなかったのでもしかすると人様のお役に立つかも知れん、と独立書庫。……ああ、うちのブログにはやたらと作り帯の書庫が


アンティーク好きにとってよくある『あああああ、この帯、刺繍がとっても綺麗、綺麗なんだけど帯地がボロボロ、汚れまくってて帯としては締められなーい
』という悲劇。

で、そのような場合は大半は『綺麗なんだけど、安いけど、締められないしねえ…』と後ろ髪引かれる思いで買わずにその場を後にする。

んが、この方法使えば、パッと見ちゃんとした刺繍帯にまで復活できるかもしれませんぞよ。

●用意するもの



喪帯。――――――…というには地紋があまりにもおめでたいような気がする、この帯

喪帯でなくても、無地系の『この帯に移植したいなあ』って帯だったら何でもいいかと。



両面アイロン接着シート。芯のない両面接着芯みたいなやつ。これを布に貼ってそれを切り抜くとそのままアイロン接着アップリケになると云う代物。ユザワヤで800円代だったかな。

あ、でもこれは接着する素材を大いに選んだので、逆に使わない方がいい場合も。

うちの場合は他のもので使う予定で買ってあったので今回使ってみましたが、他に使うあてがない場合は買わなくてもいいかと。

その場合はこちらを使う。



澱粉のり。…小僧の幼稚園で使ってたやつの残り(笑)

まあ、澱粉のりでなくても手芸用ボンドとか『接着後バリバリに固くならない接着剤』であればOK。



刺繍帯。土台部分が難ありで締められないけど刺繍部分が綺麗に残っているもの。この刺繍部分を切り抜いて、新しい帯の上に接着して移植するのです。



さあ、どんどん大雑把に刺繍部分を切り抜いていきます。



お太鼓、前帯、たれ部分のみになりました。




今回はこの扇面部分の下の布は残すことに。細かい切り抜き作業が嫌だった(笑)スクリーントーンを切り抜くのとはわけが違う
…絽目のある生地が残るけど、ここだけだからなんとかなるだろう…



3分割の作り帯に加工しておいた喪帯の上にとりあえず配置。…何となく、こんな柄の帯と云われたらそうかもな、な感じに見えます(笑)



一番刺繍パーツが小さかったたれ部分、ここを澱粉のりで接着、お太鼓、前帯部分をアイロン接着で実験してみようと思います。

慎重に刺繍糸を切らないように周りの生地を落としてこのような状態にします。

ちなみにこの細心の注意を払いながら刺繍部分のみにしていく作業が一番時間がかかります…



そしてパーツの裏にのりを塗って、そのままたれに貼る…

接着強度に問題がないか一晩乾かして様子を見ます。


                         
その2につづく

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