帰山人の珈琲漫考

朧月夜

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:art・芸術・美術 / カテゴリ:観の記:美面 [2019年03月20日 05時00分]
【解れと解れ】
2019年3月17日の昼下がり、ギャラリーLaura(ラウラ/愛知県日進市)で伊藤千帆氏の「歪み(ひずみ)と歪み(ゆがみ)」を観た。
 
 朧月夜 (1) 朧月夜 (2)
先(せん)だって先(さき)だって観た「ひずみ、反響する声」、今般の「歪み(ひずみ)と歪み(ゆがみ)」、大きさは違(ちが)うが、ラテックスと枝は違(たが)わない。ゴムのカーテンは鈍(のろ)い呪(のろ)いのようで、滑(ぬめ)って弾(はじ)いて捩(もじ)って支(ささ)えて覆(おお)って包(くる)んでいる。木の枝は鈍(にぶ)い呪(まじな)いのようで、滑(すべ)って弾(ひ)いて捩(ねじ)って支(つか)えて覆(くつがえ)って包(つつ)んでいる。放(はな)った時空で解(ほぐ)れているのか、放(ほう)った時空が解(ほつ)れているのか、惚(とぼ)けて惚(ほう)けて観た。
 朧月夜 (3) 朧月夜 (4)
 
 
【起源と根源】
2019年3月17日の夕暮れ、ギャラリー星月夜(ほしづきよ/愛知県犬山市)で金憲鎬(キムホノ)氏の「起源」を観た。
 
 朧月夜 (5)
 《今回“起源”というテーマは 食に携わる私たちにとって大切な土や種という
  いきもののはじまりを感じる作品を見てみたいとお伝えしました。その少し
  後、キムさんから届いた封書に一言、『“起源” わすれていて持っている、
  からだは忘れていない』と添えられていた。はじまりをからだは忘れていな
  い。キムホノさんの表現する“起源”。今展では絵と陶の2つで表現してい
  ただきました。》 (Web「星月夜」 exhibition 金憲鎬展“起源”)
 朧月夜 (6)
 《人間が無意識に求めている根源的なものが、そこにあるかどうかだと思う
  んです。無意識のうちに必ず感じていると思うんですよ。そういうものが残
  る。だから、大坊珈琲店はそういう根源があったんですよ。人間の根源が
  そこにあったんですよ。》 (キムホノ:談/『大坊珈琲の時間』 自由空間:
  刊 2015)
 
金憲鎬(キムホノ)氏の作品に氏自身が《無意識に求めている根源的なもの》を感じる。私のからだは「起源」を感じない。星月夜で催されていた「大坊珈琲の時間」には参加しなかったが、催事の合間に私が焼いたコーヒー豆を大坊勝次氏へ渡した。
 
 
【朧月夜】
2019年3月17日の宵のうち、コクウ珈琲(岐阜県美濃加茂市)でコーヒー(タンザニアとエチオピア)を喫した。
 
 朧月夜 (7)
篠田康雄氏・小川友美氏と談じながら、観てきた2つの作品展と渡したコーヒーのことを考えていた。歪み(ゆがみ)と歪み(ひずみ)は、解れ(ほぐれ)と解れ(ほつれ)だ。根源と起源の違いは、欲の有無だ。ラウラには解(ほぐ)れた欲が足りず、星月夜には解(ほつ)れた欲が溢れていた。大坊勝次氏へ贈ったブレンドコーヒー、名付けて「朧月夜」(おぼろづきよ)。帰途に空を見上げると余寒の星月夜、だが春には朧月夜が好ましい。
 
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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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