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村上芽日本総合研究所創発戦略センター　チーフスペシャリスト

スポーツや面接が例に上がっていますが、スポーツのなかでもいわゆる「技術点」について人よりも機械による判定がよさそうなのは直感的にも（つまり、AIではなくても）想像できます。面接でも、面接官との相性で結果を左右されたくないと受験者側が考えるような仕事や段階であれば向いているのかもしれません。当面、あれこれAI（と称する一連の新技術）を試してみて、向き不向きをみていく段階にあるのでしょうが、判定される側がそれを決める構造であってほしいと考えます。

堀越功日経BP 日経ビジネスLIVE編集長

検索からAIプラットフォームへ。グーグルの方針転換は、ネットビジネスの生態系を破壊する巨大な隕石のようなインパクトになると感じています。既に提供されているグーグルの「AI Overviews」では、元ネタとなっているウェブサイトにアクセスすることなく概要が表示されてしまいます。ウェブサイト側からするとグーグル検索からの流入が大幅に減ることになり、広告に依存したネットサービスはかなり厳しい状況になるでしょう。オンラインメディアも同様です。恐竜絶滅後、哺乳類が反映したように、ネットビジネスは次の生態系へと移り変わるのかもしれません。メディアの一員としても他人事ではありませんね…

中北浩爾中央大学法学部　教授

江藤大臣の辞任は、石破政権にとってチャンスになりうる。スーパーで5キロの米の価格は現在、4500円程度。かつてのように2000円台前半に戻すのは、公正価格の観点から言って望ましくもないが、3000円台前半ぐらいに下げられるか。流通経路の問題など、河野大臣が新型コロナのワクチン接種で見せたような辣腕を、後任とされる小泉大臣が振るうのを期待したい。結果が価格という形で明確に示されるだけに、小泉氏にとっては勝負どころです。成功すれば、首相待望論が高まり、ひいては自民党を救い、日本政治を立て直す救世主になるかもしれません。小泉さんに期待しています。

竹内薫サイエンスライター/ZEN大学教授

これまで世界をリードしてきたアメリカの科学技術は、能力のある移民として学生と研究者を受け入れつつ、潤沢な資金によって支えられてきました。あらゆる科学・医学研究の分野で、日本よりも一桁か二桁多い予算がある印象でした。しかし、それは決して金食い虫ではなく、研究成果は、時間遅れでアメリカ経済に還元されてきました。テクノロジーは基礎研究なしには成り立ちません。いま、「リベラル」という政治的なレッテルによって、土台となる基礎研究を削っているわけですが、良い結果は生まないと思います。裾野の基礎研究費を削り続けた日本がどうなったかを見ればわかることですが。

大泉一貫宮城大学 名誉教授

稲作は激動の世界に入りました。 稲作農家54万戸とありますが、零細な8割の農家は2割のコメしか生産していません。残りの8割は農家数の2割、10万戸による生産です。 大切と思うのは、この記事にもあるように「年収1000万円」で若者をつなぐことでしょう。それには100ヘクタール、200ヘクタールを超える規模とそれを管理するビジネスモデルが必要となります。実際こうした農家は記事のように日本に数多く存在します。 米価の値上がりばかり考える農林族農政をやめ、コストを下げ競争力をつける年収1000万円農業を日本稲作のメインストリームに押し上げていく必要があると思います。

柯 隆東京財団政策研究所　主席研究員

トランプ政権は対中国の関税を115％下げたが、依然30％の関税が残っている。サプライチェーンの最適化以前に、消費者が先に嗜好を変えるだろう。関税をあげたのに、トランプ氏は小売りの企業に関税分を価格転嫁するなとプレッシャーをかけている。いくら大統領でも、ビジネスのプライシングに圧力をかけるのは自分の権力を過大評価しているといわざるを得ない。トランプ氏のビヘイビアを変えるのは選挙しかないかもしれない

山崎俊彦東京大学　大学院情報理工学系研究科　 教授

例えば、RAV4, ハリアー、NH350は同じパワートレインを使っているものの、それを使ってどのような作り込みをするのかによって「ここまで違うのか」と驚かされます。同一のパワートレインを使っていてもそうなので、同じ価格帯、同様スペックの車でも会社が異なると安全性能や運転支援機能を含めてかなり異なってきます。私はどうしても技術に興味を持ってしまうのでそれらを見比べるのは大変楽しいのですが、逆にそうでないと、「で、結局何が違うの！？」と言いたくなる違いでもあります。

大泉一貫宮城大学 名誉教授

やはり総理は心配なのだろう。備蓄米の随契は入札よりはるかにいい。 米価を下落させるには、時間軸で、①緊急対策、②当面の生産調整廃止政策、③長期的な競争力のある経営対策がある。小泉氏は②③は無視して、緊急対策だけに専念すれば良い。 普通に考えれば、米価は下がらない。参院選の頃は米価高騰で騒がしくなっている頃だ。 小泉氏は、12月？には5㎏3500円未満にするとの目標を語ればいい。その上で常識を越えた大量のコメ放出を行うといえばいい。その手順と手法を国民に示し、不退転の決意を問うだけで参院選には間に合うはずだ。

堀越功日経BP 日経ビジネスLIVE編集長

次の注目ポイントは、NTTが今後公表を予定している、固定電話に使われるメタル回線の巻取り計画です。NTT法見直しの議論の中でNTTは、利用者が減っているメタル回線を使った固定電話を2035年までに巻き取る考えを示しました。NTTの島田社長は、2025年の通常国会でNTT法の見直し法案が通ったら、その具体的な計画を示したいと話していました。まだ1000万回線規模で残るメタル回線をあと10年でどうやって巻き取り、新たなサービスに入れ替えていくのか。これは日本の新たなデジタルインフラをつくることにもなり、国家的な大仕事にもなるでしょう。メタル巻取り計画の中身に注目しています。

鈴木亘学習院大学経済学部　教授

ある意味、小泉進次郎氏は運の良い人だと思う。党の農林部会長だったが、農水族ではないから、業界団体にしがらみがない。江藤前大臣が業界団体への忖度で、できなかったごく普通の事をすれば、それなりに成果が出るはずだ。まず、備蓄米は価格が吊り上がる入札方式ではなく、随意契約の指値で出す。備蓄米の買い戻し期限を延期ではなく、廃止する。目指すべき市場価格と達成時期を明らかにし（例えば、参院選前までに5kg3千5百円）、そのためには何でもすると宣言する。何でもするとは、備蓄米を全部出す、アメリカ米を緊急輸入することだと言う。達成しなければ辞任すると首をかける。時間との闘いなので、農政の構造改革は後回しで良い。

永浜利広第一生命経済研究所　首席エコノミスト

全体の貿易収支を季節調整値でみると、輸出が前月比▲2.7％、輸入が同▲1.4％となり、貿易赤字は前月から＋40.2％増加しております。 こうした中、自動車の輸出を地域別にみると、米国向けは前年比▲4.8%の落ち込みに対して、EU向けが同▲17.0％、アジア向けが同▲5.4％、中国向けが同▲15.6％と米国向けの落ち込みが最も小さくなっています。 こうしたことからすれば、関税発動が米国向け自動車輸出に及ぼす影響が本格化するのはこれからとみておくべきでしょう。

柯 隆東京財団政策研究所　主席研究員

アメリカの軍事予算は1兆ドル近い巨大な規模で、中国の3倍以上に上る。軍事技術のすごさも言葉で表現できないほどである。にもかかわらず、他国から攻撃されるのを恐れている。このドーム構想は防衛体制を強化するためというよりも、軍需産業を優遇するためのものであろう。トランプ氏と軍需企業との密接な関係をみても、その意図を容易に想像できる。これだけのお金があれば、なぜ社会保障制度の充実に使わないのか。民主主義の大統領がやることとは思えないほど愚かである。

大泉一貫宮城大学 名誉教授

カメムシ被害は生産の不安定化につながる。コメ不足を念頭に増産に転換する際の大きなネックになる。 ところで、記事は「コメ不足念頭」にというが、「コメ過剰」がなぜ不足となったのか？ きっかけは20年産米の米価下落に始まる。 これに慌てた農水省は翌21年にそれまで年間10万トン減の生産調整を米価維持のため一気に倍の20万トンにあげた。22年には実績で30万トンの生産調整を行った。2年間で50万トン減ったが、不足が顕在化しなかったのはコロナのせい。ところが23年産米で業務用需要が復活し、他方生産は不足のところに、高温とカメムシ被害で生産量が落ち込み計40万トンの不足が顕在化。そこが不足の出発点。

中空麻奈BNPパリバ証券　グローバルマーケット統括本部 副会長

ソブリンと一緒に格下げされるような連鎖的格下げはこのように起こる。ただし、スプレッドには全く影響がないと記事は指摘する。政府支援の能力低下分がなくなっただけであり、当該銀行の信用力が突如変化したわけではないから、スプレッドに変化なしというマーケットの反応も当然だ。とはいえ、長い目で見れば、格付けで調達コストは決まってくる。というより、そうでなければ格付けの意味がまったくない、ということになってしまう。翻って、日本国債の格下げがあれば同じことが起こることを踏まえておくべきだ。しかも、米国債と日本国債との格付けの違いを考えれば、連鎖格下げをされかねない日本の事業会社や金融機関の影響は大きくなる。

北川和徳日本経済新聞社　客員編集委員

前回はABEMAのおかげで、ネットでの視聴環境を整えていれば、自宅のリビングのテレビでこれまで以上の条件で観戦を楽しめました。https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH131IL0T11C22A2000000/ そんな奇特なサービスが現れなければ、来年のW杯は日本戦と決勝はNHK総合かBS（実はNHKは有料放送です）、それ以外を視聴したければ、ネット配信業者と契約することになる可能性が高いということですね。ただ、世界的に見れば箱根駅伝や高校野球、プロ野球の日本シリーズなどの国内の人気コンテンツがすべてテレビの地上波で楽しめる状況の方が恵まれすぎで、仕方のないことだと思います。海外が放映権を持つスポーツコンテンツは、今後はすべてそうなることを覚悟しなければならないのでしょう。

小宮一慶小宮コンサルタンツ　代表取締役CEO

銀行にとってALM（アセット・ライアビリティ・マネジメント）は常に重要だが、とくに金利が大きく動く局面では重要になる。 金利上昇時には、記事にあったシリコンバレーバンクのように保有する債券、とくに国債価格が下落することとなり、それにより含み損が増加、それを懸念した預金者による資金流失をまねく可能性があり、信用不安を呼ぶことともなりかねない。 もちろん、各行はALMをきちんとやっていると考えるが、金利上昇時にはその精度がさらに求められることとなる。

山崎俊彦東京大学　大学院情報理工学系研究科　 教授

最近、北海道に住む外国人の知り合いが京都に行くというのでルートについて相談を受けました。さて、関西エリアには伊丹、関西、神戸の3空港があるのですが皆さんはどの空港が良いと思われますか？実はGoogleマップで検索すると伊丹と神戸から京都へはそんなにかかる時間に差が無いように見えます。関西はちょっと遠いです。 面倒なので、生成AIに聞いてみました。「北海道から京都に行きたい。伊丹と神戸どちらの空港が便利か。理由も教えて。」と。 所要時間はほとんど同じでも乗り継ぎ発生の有無が違うと一瞬で答えてくれるのです。私はこれが生成AIが従来の検索に置き換わる原動力かと痛感しました。

今村卓丸紅　執行役員　丸紅経済研究所社長・CSO補佐

前政権でのCFIUSとバイデン氏は、安全保障上の懸念として日鉄がUSスチールの設備を将来的に閉鎖する可能性を唱えました。日鉄が140億ドルに投資を増やせば設備の閉鎖などあり得ず、トランプ政権下のCFIUSは安全保障上の懸念なしと判断するしかないでしょう。これまで日鉄の買収に難色を示すだけだったトランプ氏も決断を迫られます。買収を認めず多額の投資を得るチャンスを捨てるのか、完全子会社化の容認か。いやUSスチール買収に意欲を示してきたクリーブランド・クリフスも業績が悪化して米国企業による再編も難しくなった今、むしろ安全保障上の懸念の解消には日鉄による完全子会社化を認めるしかないのでは。

上野泰也みずほ証券　チーフマーケットエコノミスト

米国のトランプ政権とイランの相互不信はきわめて強く、このままでは両国の高官協議が物別れに終わってしまう恐れがある。中東地域に安定をもたらそうとするトランプ大統領のこのところの構想は潰えてしまい、イラン核関連施設へのイスラエル空軍による空爆といった何らかの軍事行動を通じて、中東情勢が一気に不安定化するリスクを意識。ロシアとウクライナの停戦仲介がうまくいかず、トランプ大統領は手を引く可能性をちらつかせている。その上に、イスラエルを制御できず、イランの核開発に歯止めをかけることもできないとなると、メンツ丸つぶれである。米国がイランに対して軍事行動を起こすなどの暴発をしなければよいのだが･･･。