三菱重工など、問題を事前に把握 米原発事故
【ヒューストン=小川義也】米カリフォルニア州のサンオノフレ原子力発電所の事故で、原因の蒸気発生器を製造した三菱重工業と同原発を所有する米電力会社が、設計上の問題点を事前に把握しながら、設計変更などの対応を見送っていたことが8日わかった。
事故は昨年1月、交換したばかりの蒸気発生器の配管に異常な摩耗が起きて発生。放射性物質を含む水が漏れた。
米原子力規制委員会(NRC)が8日公表した三菱重工の事故報告書によると、三菱重工と地元の電力大手、南カリフォルニア・エジソン(SCE)は振動に伴う配管の摩耗を抑える設計変更を2005年に検討したものの、最終的に当初設計のまま交換していた。
三菱重工米国法人によると、事故が起きた蒸気発生器は業界で標準的に採用されている手法に基づいて設計された。変更を見送った理由については「変更しなくても十分に安全性が保てると、SCEが最終的に判断したため」としている。
SCEは事故から1年以上たった今も運転を停止している同原発の早期再稼働を目指しているが、環境団体などが強く反対している。
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