米国務次官補、対ロ制裁は「中国への警告」
【ワシントン=川合智之】ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は3日、「ロシアが進めるクリミア編入の影響と国際社会の反応が(自国にとって)どういう意味を持つか、中国が注目しているのは間違いない」と述べ、対ロ制裁が領有権問題で周辺諸国と対立する中国へのけん制につながるとの見方を示した。
ラッセル氏は米議会上院の公聴会で証言した。ウクライナ情勢を巡ってロシアの主要産業への追加制裁が検討されていることを例に挙げ「中国がクリミア編入の事例を参考にすれば、恐ろしい結果をもたらすはずだ」と警告した。中国が米国やアジア諸国と経済的な依存を深めていることも念頭に発言した。
中国が東シナ海や南シナ海での領有権を巡って摩擦を抱えていることには「(周辺諸国の)忍耐も限界に近づいている」と述べた。
沖縄県・尖閣諸島を巡る日中の対立については「日本と台湾が東シナ海の漁業権で合意したのは非常に重要だ」と指摘。「外交的な手段による平和的な解決方法のモデルだ」と評価した。
ラッセル氏はオバマ大統領の今月下旬からの日韓やフィリピンなどのアジア歴訪を前に、米国の同盟国防衛に対する決意も強調した。