原発予算、輸出や新型炉など新事業 経産省13年度要求
経済産業省が原子力関連予算で新規事業に動き始めた。10日に自民党に示した2013年度当初予算の概算要求では、原子力発電所の海外輸出、原発立地地域の対策、新型原子炉の開発などの事業を新たに盛り込んだ。「原発ゼロ」を掲げた民主党から原発維持に前向きな自民党への政権交代もふまえ、昨年9月の概算要求を組み替えた。
原発輸出では13.6億円を要求した。東芝や日立製作所などの日本企業が海外で原発を建設する時、立地予定地の地質や周辺環境を調査する費用を補助する。調査を委託する先も日本企業を想定している。経産省は「我が国の人材と技術の蓄積につながり、国際的な原子力安全の向上にも貢献する」と説明する。
原発停止の長期化で経済が疲弊する立地地域の対策では、観光客向けの宣伝事業に最大5.7億円を求めた。観光客を呼び込み、原発の作業員が減って苦しむ飲食店や宿泊施設を支援する。茂木敏充経産相も立地地域の経済支援を検討する方針を示していた。
新型炉の開発では32億円を盛った。開発に失敗し、凍結された高速増殖炉「もんじゅ」の技術をベースとするが、発電を目的とせず、原発で発生する放射性廃棄物を燃やして減らす。米国やフランスにも似た構想があり、国際協力も視野に入れる。核のごみの最終処分の負担を軽くする狙いだが、「実質的なもんじゅ延命」との見方もある。
3事業はいずれも昨年9月の概算要求には入っていなかった。