浅川元社長、詐欺罪は無罪主張 AIJ事件最終弁論
AIJ投資顧問(東京・中央、現MARU)による年金詐欺事件で、詐欺と金融商品取引法違反(契約に関する偽計)の罪に問われた同社元社長、浅川和彦被告(61)ら3人の最終弁論公判が29日、東京地裁(安東章裁判長)であった。浅川被告側は「金をだまし取る意思はなかった」と述べ、一転して詐欺罪について無罪を主張した。金商法違反罪は認めた。
同社元取締役、高橋成子被告(54)は「会社の営業には一切関与していない」として、無罪を主張。同社傘下のアイティーエム証券元社長、西村秀昭被告(57)は起訴内容を認めた。判決は10月11日に言い渡される。
浅川被告はこれまで起訴内容を認めていたが、弁護側は最終弁論で「損失を出したまま資金を返還できないとの思いから、損失回復までの一時的な対応策のつもりで、運用実績を水増しした」と強調。「実際に多額の資金運用を行っており、検察側が主張する投資詐欺ではない」と主張した。
検察側は2日の論告で、浅川被告に懲役15年、高橋、西村両被告にそれぞれ懲役8年を求刑し、3人に計約217億9千万円の追徴金を求めた。
起訴状によると、3人は2009~12年、虚偽の運用実績を示して東京や長野などの17の年金基金から計約248億円をだまし取ったとされる。