赤ちゃん、弱い立場の人に同情 京大が心理実験
京都大の板倉昭二教授らは、赤ちゃんは弱い立場の人に同情する気持ちがあるとする研究成果をまとめた。生後10カ月の乳児の心理実験からわかった。言葉を話す前の初期の発達段階でこうした感情を明らかにしたのは初めて。
研究成果からは、支え合う心は生まれつきとも考えられるといい、人の発達過程のほか社会や文化の成り立ちを理解する手がかりになりそうだ。詳細な内容が米科学誌プロスワンに13日掲載された。
実験では、2つの図形が現れて一方が他方に体当たりするアニメーションを繰り返し見せた。その後で図形の模型を机に置いて、乳児がどちらを選ぶか調べた。
その結果、75%以上の割合で攻撃を受けた側の模型を選んだ。研究チームは、弱い立場の方に同情する気持ちが表れた結果だと推測している。
これに対して、同じ実験をした大人の場合、攻撃側の模型を選ぶ確率の方が高かった。ただ研究チームによると、様々な判断能力を備えた大人は「個人によって傾向が異なる」という。