絵本「ぐりとぐら」が50年 イベントや関連本相次ぐ
世代を超えて親しまれるロングセラーの絵本「ぐりとぐら」が誕生から50年を迎える。東京都内の各書店はコーナーを特設。出版元の福音館書店もユニークな企画でお祝いムードを盛り上げている。
東京都豊島区にある書店、リブロ池袋本店の絵本・児童書のコーナーには「ぐりとぐら」のキャラクターが描かれた大きな特製オブジェが置かれ、シリーズだけで100冊以上が積み上げられた。「現在も年間売り上げの上位で、絵本売り場の中心的存在です」と同コーナー担当の山井洋子さんは話す。
絵本・児童書専門のブックハウス神保町(千代田区)もコーナーを特設し、丸善・丸の内本店(同区)も今秋にフェアを企画している。
シリーズ1作目の「ぐりとぐら」が出版されたのは1963年。中川李枝子さんが文章、妹の山脇百合子さんが絵を手掛けている。その第1作目の冒頭は「このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること」。野ネズミの「ぐり」と「ぐら」が大きなかごを持って森に出掛ける筋立てだ。
50年記念の出版も相次ぐ。手のひらサイズでソフトカバーの7冊セット「ぐりとぐらと いっしょにおでかけ絵本」、作品に登場する料理のレシピやペーパークラフトキットなどが入った「ぐりとぐらの てづくりブック」がともに9月に刊行予定だ。点字の絵本も初めて制作され、来年にも店頭に並びそう。
半世紀を経てなお色あせない名作の誕生に携わった初代編集者で、児童文学者の松居直さんは「それまでは教育的な絵本が多く、物語の面白さを知ってほしくて作りました。100年後も受け継がれると思います」と話す。2匹の野ネズミがこれからも絵本の世界をユーモラスに変えそうだ。〔共同〕