台湾、同性婚の合法化前進 反対派との対立激化
【台北=伊原健作】台湾で同性婚を合法化する民法改正案が26日、立法院(国会)の司法法制委員会を通過した。今後与野党協議を経て本会議に送られ、来春以降の成立を目指す見通しとなった。実現すればアジアで初めてとなる。大詰めを迎えて賛成派と反対派の対立が激化しており、成立するかは予断を許さない状況だ。
改正案は婚姻に関する条文のうち、男女や父母などの表現を「双方」「両親」などに変更する。性の区別をなくすことで自動的に同性婚が合法化される仕組みだ。
台湾はLGBT(性的少数者)に寛容とされている。5月に就任した蔡英文総統も、積極的に理解を示す立場をとっていた。26日、同性婚の支持者が3万人規模の集会を実施。通過が伝わると歓声が上がった。
成立への期待は高いが、反発も表面化している。
「家族には父と母が必要だ」。26日は早朝から立法院近くの路上で反対派が集会を開き、声を上げた。民法の条文から父や母などが消えることで「家庭の形が崩壊する」と批判を強める。
反対派の間では条文から性の区別を消す手法への拒否感が強い。この日は興奮した参加者が立法院に突入するといったトラブルが相次いだ。
当局は民法には手を入れず同性婚の権利を保障する特別法を新設する案を準備しており、今後立法院での協議対象に追加されるとの見方が強い。