ロシア政府に5兆円賠償命令 石油会社財産没収で
国際裁判所
【ブリュッセル=御調昌邦】国際裁判所の1つである常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は28日、ロシア政府に対し、同国の元石油大手ユーコスの財産を不当に没収したとして約500億ドル(約5兆円)の損害賠償を命じると発表した。ロシア財務省は同日、判決の撤回を求めてオランダ国内の裁判所に訴える方針を示した。ウクライナ問題を含めて、国際社会によるロシアへの圧力が一段と強まっている状況が浮き彫りになった。
常設仲裁裁判所は国際条約に基づいて設立された国際裁判所で、国と国の紛争や、国と国以外の企業や個人との紛争を扱う。ユーコスはロシアの石油大手だったが、2003年にプーチン政権と対立し、ホドルコフスキー社長らが脱税容疑などで逮捕され、最終的に破産に追い込まれた。同社の資産の大半は国営石油大手ロスネフチが引き継いだ。原告はユーコスの持ち株会社の関連会社が中心となっている。同裁判にホドルコフスキー氏は関係していないもよう。
常設仲裁裁判所は、ロシアの措置が「エネルギー憲章条約」にある投資家の財産を原則国有化してはならないとの条項に反すると判断した。ロイター通信によると、原告側の責任者は判決について「非常に有益だ」と歓迎した。