最低賃金、2年連続10円超上げへ 厚労省委29日決定
2014年度の最低賃金の目安を決める厚生労働省の小委員会は28日、妥結に向けて詰めの協議に入った。賃上げで景気の好循環をつくりたい政府の意向を背景に、2年連続で10円を上回る引き上げとなるのは確実な情勢だ。大幅な上昇を目指す労働側と引き上げを最小限に抑えたい経営側とで最終議論し、29日午前の決着を目指す。
最低賃金はすべての企業が従業員に払わなければならない最低限の時給だ。13年度の最低賃金は全国平均で764円と前年度から15円上がった。田村憲久厚労相は14年度の引き上げ幅について「昨年並み、もしくはそれ以上にいい成果が出ればありがたい」と述べるなど、15円以上の引き上げに強い期待を示している。
最低賃金で働く人の手取り収入が生活保護の受取額を下回る「逆転現象」は現在、北海道、宮城県、東京都、兵庫県、広島県の5都道県で残っているが、14年度の引き上げで解消を目指す。
最低賃金が2年連続で10円超上がれば、パートやアルバイトといった非正規社員や中小企業の労働者の収入を押し上げる。消費を促す効果が期待できる一方で、企業にとっては人件費が膨らむリスクがある。
労使の代表と学識者でつくる小委員会が全国平均の目安をまとめたうえで、8月からはそれをもとに地方の審議会が都道府県ごとの最低賃金を決める。新しい最低賃金の水準は10月をめどに適用する方針だ。