後藤さん拘束、政府12月3日把握 対応増員は映像公開後
中東の過激派「イスラム国」を名乗る組織が邦人2人を殺害したとみられる事件を巡り、3日の参院予算委員会で政府の対応の一部が明らかになった。岸田文雄外相は、政府が後藤健二さんが拘束されたと認識したのは昨年12月3日だったと表明した。ただ、身代金を要求する映像が公開された今年1月20日までは現地対策本部への専門家の増員はなかったという。
岸田氏は共産党の小池晃氏への答弁で「12月3日、犯行グループからの最初のメールについてご家族から連絡を受けた。この段階で後藤さんが何者かに拘束されたことを認知した」と述べた。行方不明になったことは、昨年11月1日に家族からの連絡で知ったという。
政府は今年1月20日の映像公開で、拘束がイスラム国の犯行とみられると認識した。その後、アンマンの現地対策本部に外務省本省や周辺国の大使館などからアラビア語に堪能な専門家を派遣して最大三十数名で情報収集にあたった。岸田氏は「20日以前は応援はなかった」と明らかにした。
菅義偉官房長官は宗教指導者や部族長を通じて組織との接触を試みたことを明らかにしたが、「まさにテロ集団ですから接触できるような状況ではなかった」と語った。
首相は「諸外国との連携などの観点から公表できないものもあるが、引き続き今後のテロ対策に資するものは公表していきたい」と強調。有識者などによる検証を経た後に過程を公開する考えを示した。