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「モテたい意識」しぼむ若者 異性より自分が好き

日経産地研調査

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 「異性にモテなくても結構」という気分が若者の間に広がっている。モテようとして無理に努力を重ねるより、自分の気分や好みを大事にしたいと思う若者が多数を占めるようになっているのだ。日経産業地域研究所が実施したインターネット調査でも、こうした実態が浮かび上がった。

婚姻件数の減少も「モテ意識」後退と関係?

これは異性の心をつかんで結婚しようという意欲がしぼんでいることも意味する。実際、2013年の婚姻件数は66万3000組と戦後最低だった2011年に次いで少なかった。1970~80年代に高かったといわれる「モテ意識」の後退は、男女のかかわり方の変質を物語っている。

日経産業地域研究所は5月30日~6月1日、調査会社のマクロミルを通じ、全国の20~35歳の未婚の男女に対してインターネット調査を実施し、男女それぞれ1030人から回答を得た。

それによると、「生活のなかで異性にモテるかどうかを気にする」ことが多い人(「多い」と「まあ多い」の合計)は4割に満たない(図表1)。過半数の若者たちが、モテ意識を持たない「脱モテ意識」層(以下、脱モテ派)となっている。

脱モテ派の男性「異性より自分」、女性「同性の目」意識

脱モテ派が「モテるかどうか意識しない」一番の理由は、男女ともに「異性の目より自分の気持ちが大事」だからだ。「他人からどう見られるかについて関心が薄い」「異性のことより関心の強いことがある」も多い(図表2)。

女性の場合は「異性の目より同性の友人の目が気になる」も多く、男女とも心の中で異性の存在感が薄れている人が増えているようだ。

「異性のことより関心の強いこと」の内容を聞くと、第1に「自分の趣味」(77.9%)、次いで「仕事や勉学」(38.4%)で男女ともほぼ同じ傾向だ。趣味が圧倒的比重を占めているのは「自分の気持ちが大事」という心理の表れであろう。

「家庭に夢が持てなくなった」

若者や女性の動向に詳しいマーケティングライターの牛窪恵氏は、脱モテ意識の要因として「今の若者は恋愛にメリットを感じていない」と語る。

思春期から長い不況期を過ごし、新卒者の就職が困難で「男性がその収入で女性を養う」といったそれまでの家計常識が崩壊。しかも、離婚の増加にも影響され、恋愛のゴールとしての家庭にも夢が持てなくなっている。そうしたことが男女ともにモテに否定的な若者を増やしているというのだ。

消費にも影響、異性を意識した支出少なく

脱モテ意識は、消費行動にも大きな影響を与える。「1カ月に自由に使える金額」の使い方にもそれはよく表れている。

「自分の好きなことへの支出」「ファッションや外食、レジャーなどで異性を意識した支出(以下、モテ支出)」「その他の支出」に分けて見ると、脱モテ派は当然、モテ支出の割合が少ない(図表3)。男性は10.8%、女性は13.5%で、それぞれ同性の「モテ」派の半分程度。

一方、「自分の好きなこと」への出費比率は、脱モテ派の男性は55.5%(モテ派男性53.4%)、脱モテ派女性は61.9%(モテ派女性60.6%)。これにどちらにも分類できない「その他」の出費を加えたものを「非モテ出費」とすると、その割合は男性の脱モテ派89.2%、男性のモテ派77.1%、女性の脱モテ派86.5%、女性のモテ派76.6%となる。男女とも脱モテ派の方が非モテ出費が多い。

脱モテ派の女性、本や雑誌、映画鑑賞にこだわり

消費のいろいろな場面において、「異性の目・意見」と「自分のこだわり」のどちらを優先するかについても聞いた。

「自分のこだわり優先」という脱モテ派がモテ派より明らかに多いのは「外食(店選びやメニュー選び)」「衣料品や服飾雑貨」「ヘアスタイル」など(図表4)。「本や雑誌」の購入、「映画鑑賞」などコンテンツ関係消費では男性より女性の脱モテ派の方が自分のこだわりを優先している(「映画」は脱モテ派の女性80.2%、男性は74.4%)。

ただ、「外食」や「旅行」以外は、モテ派でも自分の好みを優先する人々が7~9割を占めている。消費行動全般において異性に気に入られようと配慮する傾向は、それほど強くない。あくまで異性よりも自分なのだ。

牛窪氏は「このような若者の意識変化にもかかわらず、消費財・サービスの送り手側はまだ男女のモテたい意識に訴えるプロモーションに頼りすぎ。しかし効果は薄い」と指摘する。増殖する脱モテ層は「仮に結婚するにしても『いい人に出会えれば、考えてもいい』というゆったりした構え。自分から出会いを求めて動くことがないので、地域など自分の同質な集団の中での出会いが主体となる」という。

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