ウナギの成長に地域差 長崎大など全国で調査
国内に生息するニホンウナギの体長や成長率は地域ごとに大きく異なるとの調査結果を、長崎大や東京大、水産総合研究センターなどの研究グループが30日までにまとめた。河川や湖沼ごとに、捕獲されたウナギを比べると雌の平均体長は41~57センチ、年間の成長率も7センチ台~17センチ台と差があった。
12の水系で計6388匹のウナギを調べた初の大規模調査で、長崎大の横内一樹助教は「保全のためには、大きな川から小さな川までウナギが暮らせるさまざまな環境を整備することが重要だ」と指摘している。
グループは茨城県の涸沼、静岡県の浜名湖の2湖沼と、千葉県の利根川、湊川、愛知県の木曽川、高知県の仁淀川、鹿児島県の川内川など10河川で1999~2004年に捕獲された親ウナギの性別や体長などを調べた。
漁獲データが得られなかった湊川以外の2湖沼、9河川では、近年の漁獲量が1960~70年代に比べて大きく減っており、漁獲の減少が全国的な傾向であることがあらためて裏付けられた。
雌の平均体長は、利根川で56センチ、木曽川で57センチだったのに対し、仁淀川で43センチ、浜名湖では41センチとかなりの差があった。年間の成長率は7センチ台~17センチ台まで、全体に占める雌の比率も45.6~99.6%までと、生息場所によって大きく異なっていた。
大規模な河川ほど大きなウナギが生息していることも判明。グループは「ウナギが上流にまで遡上できる大河川ほど、ウナギが大きくなると考えられる。大きなウナギは多くの卵を産むと考えられるので、河口から上流まで長距離を移動できるようにすることも保護のために大切だ」と分析している。〔共同〕