特殊詐欺の番号に警察が繰り返し電話 装置導入
振り込め詐欺など特殊詐欺を減らそうと、警察庁が犯人側の電話に繰り返し電話をかけ、詐欺に使えなくする対策を始める。新たに自動で電話をかけ続けるシステムを導入。来年度から始める方針で、概算要求に5300万円を計上した。
システムは各都道府県警が集めた犯行グループの電話番号を集約し、繰り返し電話をかける。犯行グループが電話に出た場合、警察からの着電である旨を知らせ、出頭を促す音声が流れる。切ってもすぐにかけ直す。
北海道警が昨年8~12月に試験的に実施した。被害が集中する午前9時から午後3時半の間、84の電話番号にかけ続けたところ、7割超の62の番号を解約まで追い込んだ。
北海道での昨年の特殊詐欺の被害額は、上半期(1~6月)が約6億3千万円だったのに対し、対策を試験導入した下半期(7~12月)は約3億円と半減した。認知件数も下半期は116件で上半期より27%減少した。
警察庁は「詐欺グループが新たな電話を調達しても、番号を追加でリストアップできる」と説明する。
特殊詐欺の被害額は年482億円(2015年)。前年の565億5千万円から減少したものの、依然高い水準にある。
警察庁はほかにも犯行グループの電話を使えなくするため、悪用されるケースが目立つレンタル携帯電話の回線遮断などにも取り組んでいる。担当者は「犯行に欠かせない電話をいかに使わせないかが重要。様々な対策を組み合わせ、特殊詐欺の撲滅を目指したい」としている。