桜井 慎
スクウェア・エニックス (2011-12-22)
冒頭をちょこっと読んで涼宮ハルヒのようなヒロインが主人公を巻き込んで青春を謳歌する日常系漫画かと思ったら、思いっきり騙された!
本作のヒロイン
上村ユウカは教室で変な電波でも受信しているかのような演説をしてクラスメートに無視されていたが、主人公の
修士だけはそれに反応をしたのだった。
電波女かと思ったが、そういうことでもなくユウカは自分に反応したことに心から驚愕しているようだった。そうかと思えば自分に関わってくる修士に自分を殺して悪夢から解放してくれだの、ヒトとしての意識があるうちにだのわけのわからないことを言ったりもしていた。
でも不思議と皮肉交じりで言っているような感じでわざとらしさがあった。そして主人公を自分の魅力で骨抜きにする発言は可愛かった。
徹夜したため途中で眠ってしまったユウカを修士は保健室に連れて行ったが、ユウカはそこでここは作られた世界でおかしいのは自分じゃなくて修士含めて周りの方だと語った。また電波なのかと訝しげに読んでいたが、修士が教室に戻るとクラスメートの様子がおかしく、修士はフルボッコにされてしまった。折れたはずの右足も普通に使えるという現象付きで。
ユウカはそんな修士をロボットのお人形だと言った。そうは言われても信じがたいが、翌朝ユウカがまた修士に絡むと修士は前日のユウカとのやり取りなど記憶になかった。そしてユウカにとっては世界で初めて自分を認識してくれたロボットなのにという感じだったのだろう、本気で自殺を図ろうとしていた。
それを止めたのは修士で胸を揉んで支えていたw
その反射的反応でユウカは修士を投げ飛ばしたがそれにて修士の記憶は戻ったのだった。
本当によかったと思う。この辺まできたら大分設定を呑みこめてきたが、世界にたった一人だけの人間で他は決まった動きしかしないロボットなんて本当に自殺も不思議でない状況だ。
主人公とユウカはデートをしファミレスに入ったが、未だにユウカ以外自分含め全てロボットだと信じることができずにいた。当然だろうね…
ファミレスのウエイトレスも決まった動きしかしないため、人間であるユウカにはお冷やおしぼりを持ってこなかった。ユウカはそれを想定してお弁当を作ってきていた。
そのお弁当に対し修士が言った言葉はすごく冷たかった。性悪かお思った。
「何だ… そのゴミみたいなもの!?」
ロボットも食事は取るがどうやら見た目が違うらしく、人間の食べ物なんて食べ物に見えないようだった。そんなものを食べるユウカを人間じゃないのではと疑うほどだった。
それに対しユウカは殺してみればわかると命を粗末にしている感じがした。やっぱりユウカはほとんど絶望しているようだね。
そんなやり取りをしているとユウカを始末するためにロボットが襲い掛かって来た。しかし見た目がぼろい。
そしてこのロボットの攻撃で修士は負傷し中の配線がむき出しになりやっと、読者である俺もも修士自身もロボットということに完全に納得した。
修士はその事実を知ってもユウカを守って一緒に逃げ戦うことにした。この後半の颯爽とした流れが爽快ですごく面白かった。
高い展望台に上った修士とユウカだが敵ロボットは壁をよじ登って追ってきた。そこで修士はそこから敵ロボットを抱いて一緒に心中した…
たぶん一晩たったら修理されているとかそういうことだろうが、せっかく話のわかる相手と出会ったユウカには同情する。
いや~すごく面白かった!この世界感の謎が早く知りたい!次の巻がかなり気になる内容だった。
読み終わったあともう一度読み返すとユウカの心情がわかる分最初の電波発言とかも印象ががらっと変わって面白い。
すばらしい作品だった!
個人的な評価★★★★★
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