秋★枝
KADOKAWA/メディアファクトリー (2014-02-22)
この作品はマジック・ザ・ギャザリンとか遊戯王をやったことがある人ならハマってしまうだろう。
俺は小学生のときMTGにハマって少ないお小遣いをカードににつぎ込んでいた。飛びかかるジャガーとかリバーボアとか怨恨とか巨大化とか樫の力呪われた巻物とかマスティコアとか愛用してたなぁ… 懐かしい。緑単の速攻ビートダウンデッキが好きだった。あとは白単色でひたすら回復に特化させ、被ダメージ量より回復量を多くしてファイレクシアの処理装置で100/100のトークン出したりさ… 思い出を語れば切りがない。
さて、この作品はWizard's Soulという架空と言っても作者のコメントにもある通りMTGの影響を大幅に受けているTCGが世間に広く浸透し、子供からお年寄りまでWizard's Soulの強さがステータスとなる世界だった。
咲-Saki-の世界における麻雀、遊戯王の世界におけるデュエルモンスターズのような扱い。
ブースターパックを開封したときの独特の香りもすごくわかるw
主人公の「
一ノ瀬まなか」はカードショップでバイトをする女子中学生でクラスメイトの男子「
櫻井瑛太」とすごく仲が良かった。
ある日、まなかの父親はこの世界独特の「レアカード詐欺」に逢い、爆大な借金を背負ってしまった。とてもバイトだけじゃ返せる額ではなく、賞金が貰える公式大会での優勝を目指す道を選んだのだった。
しかし大会に出場するには強さのレートのような扱いの公式ポイントが必要で、それがないまなかは友人の瑛太に勝負を挑み負けたら何でも言うことを聞く代わりに全部よこせと言ったのだった。
無茶な条件ではあるけど、自分の強さへの過信と片想いの相手からの破格の条件に承諾しデュエルは始まった。
しかし結果は弱いと思っていたまなかの圧勝。しかもまなかが使ったデッキのタイプは「パーミッション」という打ち消しなどカウンターカードを多く含んで相手の邪魔をしまくるタイプの構成でとても性格の悪い嫌われるタイプのデッキだった。主人公が熱血系ではなく、こういう嫌がらせ系デッキを使うとかすごい面白いじゃんw 俺も青の打ち消しデッキは嫌いだった。魔力消沈とかさ…
あとこの世界のデュエルは普通に淡々とデュエルが進んでいいね。クリーチャーのビジョンも現れなければ、大げさに「俺のターン!ドロー!」とか言わないところがリアルなカードゲームだ。
まなかはこんな勝ち方をしてしまい心を痛めていた。まなかも瑛太のことが好きだったのだ。
この物語におけるカードゲームはメインではないそうだ。あくまでメインは恋愛。でもTCGを題材とした恋愛モノとか斬新だなぁ。こういう冒険作は好き。
こんな喧嘩別れのような別れ方をした上に、学校でも瑛太がまなかに負けたことは広まり、まなかはWizard's Soulが強くモテモテだった瑛太を卑怯な手で倒したと噂され居づらい状態になっていた。
そしていちゃもんをつけてきたクラスメイトの女子とのデュエルでは動きを完封した後ちまちまと小ダメージを与えまたもやえげつない勝利を収めていた…
こんな勝負やっててすごくつまらないだろうな… 起死回生のカードは自分のデッキの中になく希望もなしだ。ただ負けるまでドローするだけのゲーム。
しかしまなかに負けた瑛太は冷静さを取り戻し、改めてあれは卑怯な手ではなく実力差で負けたと認識し、惚れ直していた。
このデュエルがただの鬱ゲーにならずに済んで良かった。むしろプラスに働いてたし。
惚れ直した瑛太は病気で学校を欠席したまなかの家を訪れ、父親のカード詐欺の件でお金が必要だったという事実を知ったのだった。
誤解も解けて恋愛が始まる土台は整った感じだ。
そしていざ始まる四国大会。瑛太はこっそり応援に来ていた。
まなかの対戦相手は大きなクリーチャーで殴るタイプのデッキ「ファッティ」。プレイヤーもデブ。しかしカードゲームが強いからモテモテだそうだ。羨ましい。
3本勝負で一戦目は邪魔しまくり完封して勝利、続けて二戦目は相手のクリーチャーのコントロールを奪い勝利。いずれも性格の悪い嫌らしい勝ち方だ。この淡々とした機会的なバトル面白過ぎる。決してビジュアル的じゃないのがさらに良い!
全国区の選手に圧勝したまなかを見て瑛太はさらにテンションを上げていた。
だけどまなか本人は人に嫌われる戦いをしたことで精神的ダメージを負っていたようだった。
決意は固いけど、このまま最後までつぶれずに持つんだろうかね。やっぱそこは瑛太の出番だろうか。
面白かった!嫌らしいデッキで淡々と勝つ主人公に、そんな彼女に惚れた男。今後TCGとどう絡んでこの恋愛が進んでいくのか楽しみだ。
個人的な評価★★★★★
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