鎌池和馬
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016-08-10)
売り上げランキング: 7
新約 とある魔術の禁書目録 16巻 感想です。
前回、木原唯一が上里の理想送りを手首ごと強奪して姿をくらまし、美琴もA.A.A.で闇落ちして終わった。
それで今回は学園都市が摂氏55℃の熱波に襲われあらゆる機械は機能停止し都市機能はマヒ、同時にエレメントと呼ばれる謎の水晶状生物が街を闊歩するようになってサバイバルが必要な状況になっていた。
物語は3パートに分かれていた。
上条さんは最初居候先の学校でエレメントが追って来ない屋上をロープや梯子で移動しながら金よりも価値のある水を確保するサバイバルを仲間たちと繰り広げていた。エレメントは幻想殺しで倒せるが振れる前に即死級の攻撃を受けるため倒すのは困難。
熱波もあり水を確保するのも命がけの状況で、実際上条さんは吹寄を庇って心停止していた。
そんな中、浄水するためのバクテリア入手ミッションで仲間たちを逃がすためにエレメントと対峙することになった上条さんを救ったのはA.A.A.を装備した美琴。
今度は美琴に保護され常盤台中学での生活が始まった。
常盤台では高位能力者により地下水が発見され水は噴水に使えるほど潤沢に。入口もバリケードと高位能力者の見張でエレメントからの防御もしっかりしていた。
場所が違えばこうも違うのかって状況で、学園都市を落とすのもちょろいなぁと感じた。
常盤台では食蜂操祈が壱図で個人的には美琴以上にヒロイン力があったゾ。自らの能力の作用で上条さんは自分に関することを記憶できないのに、それでもどこまでも信じてるところがいいじゃん。
美琴はA.A.A.の整備場を常盤台中学の中に作っていた。熱波とエレメント以前からってところに上条さんが引っかかっていた。
今回の美琴は一見いつもの美琴だったがどうなっているんだろうね。途中鼻血を流していたのはたぶんA.A.A.に含まれる魔術成分による副作用だろう。
常盤台ではエレメントを駆除するために怪しげにそびえ立つ水晶の塔を破壊する作戦を立てていた。美琴と上条さんがいればそれができると。
そして実際上条さんの活躍により塔を破壊し、ホームである常盤台に帰ってくると、そこは壊滅していた。特に美琴の整備場が。
犯人は悪い予感がしたけどエレメントを引き連れた木原唯一。脳幹先生の遺品を使うことを許せなかったため、ブラフとして用意していた水晶の塔を破壊できる者を探していた。そして引っかかった常盤台は壊滅。
美琴はせっかくのA.A.A.を失ってしまったのだろうか。まだ完全に解析できたわけではないと言っていたから、対魔術師用としては再現できないだろうし。これをきっかけにさらなる闇落ちなんてしたら怖いな…
上条さんたちを唯一おばさんから助けたのは上里勢力だった。
熱波の原因は上里だったが、これは唯一が作ったエレメントが高温だと活動を鈍らせるため。エレメントのボディは科学だが生命の原理は魔術によるもの。唯一はもうここまで科学と魔術を使いこなすようになってしまったか。
上里は理想送りを失ってもついてきてくれる少女たちを見てある程度改心していて、上条さんにも感謝していた。そして唯一なんてやつにあんな危険な右腕を預けておけないと奪還を企てていた。上条さんもエレメントを止めるためにそれに賛同。
決戦の地は窓のないビルの地下で、窓のないビルはロケットになっていることがさりげなく明かされた。アレイスターは何を考えているのだろうかね。
そして今回の戦いの主役は上里で上条さんは傍観者だった。上里さんの頭脳プレイは上条さんとは違った路線で面白いわ。今や普通の高校生なのに。
唯一も一応人間らしく脳幹に関することなら心が揺れるのは今後のポイントかもしれない。
上里は現在復讐だけにそまっていないため、理想送りを取り戻しても振るった瞬間自分も飛ばされることはわかっていた。でも少女たちを守るために、上条さんに最後に彼女たちを頼むと行って理想送りを発動。
腕だけを残し消失し、その腕も再び唯一に奪われ少女たちと上条さんの命は助かったが大変な状況に。唯一は悪いことに自分を攻撃してこの腕にもしものことがあれば上里を救えるかもしれない唯一の鍵を失うことになると脅しをかけ勢力を一気に自分のものとした。
こう言われちゃ勢力の少女たちは嫌々でも従うしかなく、上条さんの命を奪うために襲い掛かってきた。去鳴は葛藤していたがそれでも唯一に従った。
外で熱波を放っていた府蘭だけが唯一正気で上条さんの味方をしてくれた。
上条さんは上里に任された少女たちを助けるために上里をどこかから連れ戻すことを決意。でも手がかりまったくない中どこから新しい物語が始まるのだろうか。
それに木原唯一またもやインフレしたぞ。科学と魔術のハイブリットもいいところ。木原脳幹でも味方につかない限り勝ち目がないように思える。
でも僧正のときよりは絶望感は感じない。あのときは次々と作戦が失敗していったし、自信満々だったフィアンマもダメだったし。
個人的な評価★★★★☆
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