1974年発表の
エリック・クラプトンのレコードです。クラプトン名義で2枚目のアルバムですが、1枚目『Eric Clapton』から4年あいてます。その間に
ジミヘンやデュアン・オールマンといった友人を亡くし、親友ジョージ・ハリソンの奥さんに横恋慕し、薬物中毒になり、人生散々。う~ん、ついてないと言えばついてないですが、最後のふたつは自分が悪いですよね(^^;)。そういうボロボロの状態から復活するべく作られたアルバムがこれですが…これはちょっと(・ω・`)。問題は、曲が揃ってない、バンドの演奏がひどい、クラプトン復調してない、以上3点。
まず、曲。曲としてまがりなりにもきちんと手を入れてあったのは「Let it grow」だけでした。この曲はいいのになあ。でも、あとは転調もバスラインも作ってないに等しい状態、楽器間アンサンブルなんて本当に何もしてません。こういうものを作曲と呼んでいいのか。まあでも、クラプトンは本来セッションギタリストなのだとしたら、作曲をやらせる事自体が間違ってるのかも。
バンドの演奏。このアルバム、ドラムとエレキベースって必要なんだろうかと思ってしまいました。ゆったりしたスライドギターの聴ける2曲目の「Give me strength」なんて、バンドアレンジ次第でここから10倍は良いものに出来そうですが、ドラムがアンサンブル関係なくインテンポでバタバタ叩いてるから、スライドギターの微妙なニュアンスも、音楽のゆったりしたアゴーギクも、ぜーんぶかき消されて台無し。共演者の良さを消して回るようなドラムなら、いない方がいいんじゃないかなあ。「Let it grow」もすごくいい曲だと思うのに、ドラムが「ズンズンダッ」…ほんと、ロックのドラマーって周りの音を聴いてない人が多くて嫌になります。ジャズやクラシックのアンサンブルにこんなのいたら、即日クビじゃないかと。
クラプトンさんの演奏。ほぼマイナーペンタしか弾いてなくて、バンドアレンジどころかギターアレンジすらしてない状態。マイナーペンタ一発のセッションなら中学生だって弾けますよね…。ギターレジェンドが新作作るというなら、せめてギターアレンジやソロのアプローチぐらい作って欲しかったなあ。クラプトンさんって、ブルースを演奏する時は見事なギターアレンジを作ったりするので、やればすごいんですよね。それを知ってるだけに残念。
準備も練習も出来てないのにレコーディングに入ってしまった残念なアルバムに聴こえてしまいました(^^;)。やっぱり体調悪くて、復調してなかったんじゃないかなあ。これを「レイドバックした大人の音楽」なんてのは、レコード会社の身勝手な売り文句以外の何物でもないんじゃないかと。というわけで、僕的には、このアルバムを褒めるかどうかで、評論家がレコード会社の太鼓持ちかどうか分かる踏絵みたいなレコードなのでした。
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長年の疑問(というほどでもないですが)がこの記事で解けました。
発表当時、クラプトン復活!ということで鳴り物入りで登場したこのアルバム。
何回か聞いたのだけど、どうしてもいいと思えない。
音楽雑誌も絶賛しているし、周りの友人もいい、いいと。(まだ子供でしたが。)
でも何回聞いてもピンとこない。
クリームのクラプトンは心底凄いと思ったのに。
自分には理解できないんだということで、以来40年間聞くことも無く。
>曲が揃ってない、バンドの演奏がひどい、クラプトン復調してない
そうだったのか。
当時は、クラプトンのアルバムを批判するなんて神をも恐れぬ行為だと思っていたので。
40年ぶりに聞いたのですが、そこそこ弾けるアマチュアバンド、曲は全然魅力的じゃないけど、程度ですよね、このアルバム?
自分の感性が正しかったのか、よかった~