前回、大名盤『Roberta Flack & Donny Hathaway』では、ダニーさんの素晴らしさばかり強調しちゃいましたが、本当はロバータ・フラックさんの素晴らしさも書きたかった(^^;)。。単純に歌唱力という所でいうと、なにもダニーさんと比較しなくともロバータさんには「ん?」と思う所が随所に出てくるんですが(・ω・)、しかしロバータ・フラックさんの素晴らしさは、もっとトータルで見たシンガーソングライターとしての力量にあるんじゃないかと。作曲やピアノアレンジが素晴らしい!
ロバータ・フラックさんは、デビュー前はナイトクラブでピアノ弾き語りをしていたそうで、さすがに弾き語りが素晴らしい。上手いかどうかじゃなくって、ピアノと歌が実に見事に絡みます。ほら、女性でピアノ弾き語りというと、なんでもかんでも4分音符で「ジャン、ジャン、ジャン、ジャン」というのがやたら多いじゃないですか。あれとかフォークギターのジャカジャカストローク一辺倒を聴くと、僕は1分もすると聴くに堪えなくなって音楽を聴くのをやめちゃうことが多いのですが(^^;)、そういうのはなくって、
どの音を弾くべきか、和声はどうするか…ピアノアレンジが、本当に良く出来ています。間違いなく和声法を学んでいると思います。ジャズピアノのように見事な運指を楽しめるわけではありませんが、そんな必要を一切感じさせない素晴らしさ。
その素晴らしさは、2曲目"Jesse" や4曲目"No Tears" などに存分に発揮されてます。4曲目なんて、ピアノとヴァイオリンの演奏といい、その上に浮かび上がる歌詞といい、これは泣ける、なんていい曲なんだ(・_・、)。 僕的にはこの2曲だけでも買いのアルバム。しかし敢えて問題点をあげるとすると、バンドアンサンブルした曲。なんか、これがダサい。歌や曲の良さが全部消えちゃっている気がするんですよね。ミッド~スローぐらいの良い歌って、伴奏の編成が小さければ小さいほど歌の良さを引き出せると思います。下手にフォーリズムのバンドアンサンブルとかを作っちゃうと、声の表現は奪われるし(声のニュアンスなんて大きな楽器の音で全部マスキングされちゃう)、和声進行やカウンターラインの妙なんて無神経なドラムやベースがいたら、それで台無し。ピアノだけであれだけスバラシイ音楽を作れちゃっている人なので、雑なバンドアンサンブルは余計に感じちゃいました。。あ、そうそう、バンドアレンジのすべてが悪いというわけじゃなくって、
最終曲"Suzanne"のアレンジは絶品!メインパートが終わったあと、ふたつのコードを繰り返すだけのアドリブパートに突入して次第に高揚していったところでブレイク、歌だけを残してコーダ。いやあ、なんと素晴らしいアイデア、これはいい!
僕、ロバータさんのアルバムを、ダニー・ハサウェイさんとのデュオとこれしか持ってないんですよね。他のを聴くより先に、このジャンルを通り過ぎてしまったんです。でも、今聴いてもこれだけ良いんだから、きっとほかのアルバムにも良いものがあるんじゃないかという気がします。もともとクラブで弾き語りしていた人らしいので、デビューアルバムとかはピアノ伴奏中心だったりするのかな?そうだとしたら、これより前のアルバムもいつか聴いてみたいなあ。
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